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デジタル時代の新購買検討モデル 「バタフライ・サーキット」とは?

ヴァリューズ

マーケティングにおけるデータ利活用の意義はさらに高まる一方で、個人情報保護の強化の流れなど、実際の打ち手には新たな視座が求められ始めている。そうした課題感から、宣伝会議は3月24日、「データマーケティングカンファレンス2020」を開催。第1部では、「AIDMA」「AISAS」に代わる新たな購買検討モデル「バタフライ・サーキット」が紹介された。

登壇したヴァリューズ 執行役員の子安亜紀子氏。

新時代の購買行動は「さぐる」「かためる」の両軸が肝

第1部に登壇したのは、ヴァリューズ 執行役員の子安亜紀子氏だ。彼女が紹介したのが、同社の調査協力にもとづきGoogleが提唱したデジタル時代の購買検討の新モデル「バタフライ・サーキット」だ。

子安氏は冒頭、消費者の購買行動の変化をこう指摘。「スマートフォンの普及により、例えば、"とりあえず"の検索から突然、購入にまで至ってしまうなど、『AIDMA』『AISAS』では説明しきれない行動が見受けられるようになりました。要するに、検索から購入までの流れがより瞬間的、刹那的になっているのです」。

そこで同氏は、「変化には法則性があるはず」との前提に立ち、Google、博報堂と共同研究を実施。ヴァリューズ保有のモニターパネル約180万人からインターネット上の行動データを集めて観察した。その結果、見出されたのがバタフライ・サーキットだ。

このモデルは、消費者の検索動機を8つにカテゴライズするところから始まる。ひとつが、関心事への情報収集自体を楽しみたいという検索動機「気晴らしさせて」。2つ目が、知らなかったことへの探求欲求「学ばせて」。さらに、第三者からの評価を知りたい「みんなの教えて」、知り得た情報を共有したい「にんまりさせて」がある。

残りの4つは、自分の考えが本当に正しいのかの判断材料が欲しい「納得させて」、商品・サービスの良さなどが分からないときに答えが欲しい「解決させて」、商品・サービスの質に後で落胆しないよう、あらかじめ期待値を下げておきたい「心づもりをさせて」、購入目前の商品・サービスについて、購入するという選択が間違っていないと思い込みたい「答え合わせさせて」がある。

同モデルは次に、前述の8つの動機を2つの枠に分ける。上の4つが枠「さぐる」、下の4つが枠「かためる」だ。そして、「昨今の消費者は、ひとつの購買行動で、この『さぐる』と『かためる』を"行ったり来たり"することから、バタフライ・サーキットと名付けました」と話す。

それでは、このバタフライ・サーキットが、どのように実践の場で役立ち得るのか。その点を踏まえ、同氏は、バタフライ・サーキットのとある特徴を説明する。それが「関連商材への波及」だ。「研究の中で、『商品・サービス購入後に関連情報を調べるか』と尋ねたところ、80%の人がYESと答えたのです」(同氏)。

その説に則れば、以下のようなケースが想定できる。例えば、自動車を新たに購入することになった人の多くは、車で音楽を聴くことを想像する。つまり、新車購入後、スマートフォンなどで音楽アプリを調べ始めたりする可能性が高くなるわけだ。

「バタフライ・サーキットを知っていれば、例えば、『車をこれから購入する人=音楽の視聴環境が整った=潜在顧客』など、消費者の自社商品の購買意欲が高まる瞬間を予測することができるようになります。その結果、販促の仕掛け方やコミュニケーション設計の改善につなげることができます」と結論付けた。

    お問い合わせ

    株式会社ヴァリューズ
    〒107-0052 東京都港区赤坂2-19-4 FORUM赤坂5F
    E-mail:marketing@valuesccg.com
    TEL:03-6277-6812
    FAX:03-6277-6814

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