日用消費財などを扱うメーカーにおいては、顧客との間に小売業を挟んだ事業モデルが一般的だ。それゆえ顧客のことを理解できているようで、なかなかその実態に迫ることは難しかった。そんな課題を解決するのが、フェリカネットワークス(以下、フェリカ)のレシート活用ソリューションだ。本ソリューションを採用し、4月末よりかっぱえびせんの新商品キャンペーンを展開するカルビーと、その活用支援を行うフェリカの担当者に話を聞いた。
キャンペーンを通じ、顧客像を可視化 ターゲット層の動きを掴む!
カルビーは、4月27日から期間限定で、同社のロングセラーブランド「かっぱえびせん」から、新商品『絶品かっぱえびせん 鳴門のうず塩とわさび味』を全国のコンビニエンスストアで販売を開始する。
ターゲット層を40~50代男性に据え、「仕事帰り、お酒のお供に」という食シーンをイメージし、開発されたものだ。
同社では、新商品発売に伴い、セブン-イレブン限定でレシートを使ったマストバイキャンペーンを展開する。具体的には、セブン-イレブン店舗で同商品または、赤いパッケージのオリジナル『かっぱえびせん』どちらかを購入の上、同社キャンペーンサイトからレシート画像を投稿すると、抽選で総計約50万円分のnanacoポイントが当たるというものだ。
今回カルビーがこのキャンペーンに利用したのは、フェリカ提供の「レシートキャンペーンソリューション」だ。フェリカネットワークス プロダクト&サービス部の澤木 亮氏は、「レシート画像を投稿するだけで、キャンペーン条件に即した購買かどうかを即座に判定でき、応募者にとって負担が少ないという利点と、収集したレシートを分析することでお客さまの購買傾向を"見える化"することができるというデータ利活用の側面の2つに特徴があります」と説明する。
実際、本ソリューションを採用したカルビー マーケティング本部 商品4部1課の小垰勇人氏も、これらの特徴に魅力を感じたという。「ハガキ応募やシリアルコード入力よりも、レシートをスマホで撮影し投稿するだけなので圧倒的に手間が少ないと考えました。さらに、企業側にとっても、応募に使われたレシートのデータ化と分析までできるという点が魅力でした」(小垰氏)。
収集したレシートデータからは、購買場所や時間、併売された商品などの情報が一括で入手可能。他にどのような商品を一緒に購入しているのかも分かり、お客さまをより深く理解することができる。同氏は「特に、今回は新商品ということもあり、自分たちが想定した顧客層が本当に狙い通りに購入してくれたのかの検証もしたいと考えていました。その意味でプロモーション効果だけでなく、ここで得られたデータが今後の商品開発やマーケティング施策にも活用できると期待しています」と話す。
また、本キャンペーンは"三方よし"の施策だとも強調。「当社にとってはもちろん、ポイント発行で再来店につながる小売企業さまにも、そして手間がかからないことでお客さまにとっても、"三方よし"と言える仕組みです」。
店舗や業態を横断した情報で顧客理解の促進につなげる
プロモーション期間やキャンペーンユーザーだけでなく、レシートを介してより日常的に顧客を深く理解したい、というマーケターのニーズにも応えるべく、フェリカではBIツールを使った「IDレシート分析ソリューション」も提供している。
カルビーで、このソリューションの利用を推進しているリテールAI推進担当課長の松永 遼氏は、人を軸に購買行動が分かるIDレシートデータの魅力について、端的に「店舗を"横断"で見られる点だ」と語る。
メーカーが従来使ってきたPOSやID-POSデータは、流通内を"縦"で見ていくが、フェリカのIDレシートはあらゆる店舗のレシート表記をマスター化しているため、生活者の購買行動をチェーンや店舗を"横断"して見ることができ、商品の購入場所や時間帯、何と一緒にいくらで買ったか、などの詳細な分析ができるのだ。
「メーカー主導で見ることができる横断型のデータは貴重です。ブランドユーザーのカスタマージャーニーが分かるため、顧客の嗜好性に対する理解が深まります。いまの時代、顧客とのコミュニケーションにはOne to Oneの姿勢が求められますので、データから顧客の"解像度"を上げていく必要性を感じます」(カルビー松永氏)。
特にフェリカが提供するデータは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店舗に留まらず、外食チェーンも含まれることも特徴のひとつだ。松永氏は、「ひとりの顧客について小売店だけでなく、外食チェーンでの購買データも横断して見ることで、より深く嗜好性を理解することができます。それだけでなく、複数あるファストフードチェーンの中でも、自社の顧客はどのブランドと親和性が高い属性なのかが分かるので、他社とのコラボ企画のアイデアにもつながると思います」と語る。
また、ファストフードはじめ外食チェーンのレシートについては、フェリカ プロダクト&サービス部の橋場 仁氏は、「その人の嗜好性が理解しやすいです。例えば、同じコーヒーショップでも『ドトール』と『スタバ』、どちらと相性が良いのかなど、ブランドユーザー像が鮮明になります。今年1月からはメニュー名のデータ化も開始したので、外食レシートを使った分析チャレンジをより深め、顧客理解への活用を支援していきたい」と話す。
最後に、レシートデータ活用の展望について、カルビーの松永氏は「より精緻なカスタマージャーニーの設計や、新商品開発はもとより、ブランド、ひいては会社へのロイヤリティ醸成のための施策の企画・立案などにもつなげていきたいです」と意気込みを示す。また、同社の小垰氏からは、「集まった顧客情報を営業部にも共有することで、今後の小売への提案などにおいても他のメーカーにはない資産になるのではないか」と、施策の成果の"水平方向"への広がりについても言及がなされた。
新商品『絶品かっぱえびせん 鳴門のうず塩とわさび味』は4月27日に発売予定。同氏は、「これまで想定したターゲット層の方が、想定した使用シーンで喫食していただけるのか。レシートデータから読み解ける情報から仮説の答え合わせや商品の特徴付けをして、次の施策に生かしていきたいと思います」と語った。
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