2月17日、マーケティングフォーラム「ORBIT(“Omni Media” Marketing Forum)」が開催された。紙メディアとデジタルテクノロジーの融合(=「プリントテック」)をキーワードとして、顧客を中心にデジタルとアナログの垣根を越えたブランド体験を提供する次世代マーケティングの可能性について、業界を代表するマーケターたちが議論を行った。
新たなニーズを創出する紙×コンテンツの訴求力
デジタルかアナログかの二項対立で語られることが多かった近年のマーケティング業界。しかし効率一辺倒のデジタル偏重がもたらす弊害を指摘する声が増えるにつれ、いかにして両者を融合するかが次なるテーマとなってきている。
デジタル×アナログの融合の中でも、特に改めて注目されているのが「紙」メディアだ。高性能なデジタル印刷機の登場で小ロット、場合によっては顧客別にカスタマイズした内容であっても迅速かつ低コストで印刷することが可能となっている。つまり、デジタルマーケティングの領域に、"アナログ"である紙の導入がより容易となったのだ。
セミナー冒頭では、クー・マーケティング・カンパニーの音部大輔氏、ディノス・セシールの石川森生氏らによる基調講演「プリントテックの革新がマーケティングの未来を変える」が行われた。モデレーターにはイーリスコミュニケーションズの田口歩氏が務め、紙の価値の再発見や、プリントテックがもたらすマーケティングへの影響について、俯瞰の視点で話は進んだ。
「2018年日本の広告費」(電通調べ)によると、新聞や雑誌などの紙メディアの広告費は、年々減少傾向にあるという。石川氏は「特に新規顧客獲得におけるリーチやコスト面では、Webの方が断然有利。今後さらに広告予算が紙からデジタルに流れることはあり得る」との見解を示す一方、「顧客とコミュニケーションを取り"続ける"、いわゆるリテンションのツールとしては、紙の方が優れている点が多い」と指摘する。
音部氏も「紙は顧客に、手触りや質量を感じながらページをめくる、という固有の体験を提供する。これは、デジタルでは代替できない重要な要素だ」と話す。
議論はさらに深化し、紙の優位性を生かしたデジタルマーケティング施策の「最適解」に話は進む。
「『Web』か『紙』か、という二軸で見るならば、顧客体験の視点に立ち返ってみると良い」(石川氏)。例えば、ディノス・セシールが発行しているカタログは、それ自体にエンタテインメント性をもたせているという。「例えば、若者層など普段の生活空間に、あまり『紙』がない人たちにとって、希少な購買体験を提供する。そうした体験軸の発想から当社のカタログは存在する」と述べる。
最後に、音部氏は、手段への過度な執着に警鐘を鳴らす。「売上を達成するのに必要な顧客数など、目的が明確に解釈できていれば、紙かデジタルかといった手段を判断しやすいだろう」と指摘。同時に、パーセプションフローなどによる全体設計が、紙やデジタルの最適な運用を促す、と語る。
フォーラムは以降も続き、プリントテックと親和性高いコンテンツに関する話や、既存のオムニチャネル・コミュニケーションにおける紙メディアの可能性など、有識者による先見性高い知見が共有された。
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