2019年4月に開始したサブスクリプションサービス「ADDress」。変化する生活者のニーズを捉え、「多拠点コリビング(co-living)」の新市場を切り開いた同サービスは、いまや3000人近くの応募者が殺到する。同サービスを展開するアドレス 代表取締役社長の佐別当隆志氏に話を聞く。
増加を続ける日本の空き家 シェアリングで課題解決に貢献
アドレスが2018年12月に発表した、"多拠点コリビング"サービス「ADDress」。月額4万円から利用できる会員制サービスで、会員は全国にある「ADDress」のどの拠点にも自由に住むことができる。ここで提供される拠点には、その増加が深刻な社会問題となっている全国の空き家が活用されている。
「ADDress」はサービス発表後から大きな話題を呼び、30人を定員とした第1回目の会員募集では1週間で700人もの応募が殺到。以降もクラウドファンディングで2回にわたり会員募集を行ったものの、予想をはるかに上回る応募が寄せられたことから、現在は会員募集を停止しており、3000人近くの応募者が案内待ちの状況だという。
同サービスを展開するアドレス 代表取締役社長の佐別当隆志氏は、サービス立ち上げの背景について3つの理由を挙げる。
ひとつ目は、シェアリングを通じた社会課題解決の可能性だ。シェアリングエコノミー協会を立ち上げた佐別当氏は、地方自治体などの協力を得ながらシェアリングシティという取り組みを進める中で、空き家問題へのシェアリングの活用に着眼した。
2つ目は、多拠点生活へのニーズの高まり。リクルート住まいカンパニーが発表した、住まい領域における「2019年のトレンド予測」では、都心と地方でのデュアルライフを楽しむ"デュアラー"の増加を予測。内閣府が行った「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」では、若年層の地方への移住の高まりを明らかにしている …