人生の節目に加入することの多い生命保険。寿命が延伸する中で、商品のみならずコーポレートコミュニケーションはどのような視点が必要になるのか。FWD富士生命保険 執行役員 兼 CMOの立川麻理氏に話を聞く。
ブランドコアに根差しコミュニケーションを設計
世間一般に広く知られるようになるとともに、「人生100年時代」はマーケティング上においても重要なトピックとして認知される機会が増えてきた。
各社が長寿命化を見越した商品・サービス設計に乗り出す中で、とりわけ「人生100年時代」の影響を色濃く受けているのが生命保険業界だ。すでに健康増進型保険や認知症保険など、新たな競争が生まれている。しかし無形財であり、かつ有事の際に初めて契約者に還元される商品特性上、保険には目に見えて価値が感じづらい側面がある。この環境下で消費者に選ばれるためには、企業やブランドに対する共感の醸成が欠かせない。
そこでFWD富士生命保険では「人々が抱く"保険"に対する感じ方・考え方を刷新すること」をブランドビジョンに掲げ、保険の常識に挑もうとしている。FWD富士生命保険は香港を拠点とする保険グループFWDが日本市場で展開する企業だ。
「『人生100年時代』というキーワードを知ってはいても、まだほとんどの消費者が自分ゴト化できていないというのが実情でしょう。言葉だけが、ひとり歩きしてしまっているように思います。『人生100年時代』よりも、ライフステージごとに多様なライフスタイルや価値観が認められる"ダイバーシティ&インクルージョン"社会のほうが、目の前にある社会として身近に感じているのではないかと思います」。
そう話すのは、同社 CMOの立川麻理氏。従来の「教育」「仕事」「引退」の人生設計の道筋が多様化する中で、労働市場とスキルの価値が変化する時代に対応するための適応力の強化が求められる時代になってきていると考えている。
市場と社会、双方の環境がめまぐるしく変化する中で、同社がコーポレートコミュニケーションにおいて重要視しているのは、時代に合わせるのではなく、あくまでブランドコアに根差して設計することだ …