ネスレ日本は「製造業からサービス業へ」を掲げ、ビジネス全体の変革を行っている。マーケティングは顧客の問題解決のためにあると考える同社には、実はマーケティングと名の付く部門は存在しない。同社の取り組みからは、拡張するマーケティングの役割が見えてくるのではないか。飲料事業本部 レギュラーソリュブルコーヒービジネス部部長を務める島川 基氏に、企業としての取り組み、さらに最近注力しているというブランド視点からのeコマース(EC)の役割について聞いた。

さまざまなコミュニティにおいてコミュニケーションの活性化を促す「ネスカフェアンバサダー」。
ネスレ日本は製造業からサービス業へ
新興国のように伸びている市場においては、プロダクトの機能そのものが消費者の問題解決に役立ちます。しかし日本は成熟してモノ余りの時代になっている。そうなると、お客様に選び続けてもらうためにはモノの便益だけではなく、「体験価値」を高めていくことが重要となります。そのためには、プロダクトの提供だけではなく、サービスとあわせたソリューションを提供していく必要があると私たちは考えています。
そこでネスレ日本では、プロダクトだけではなくサービスによる問題解決が重要だと考え、事業戦略として「製造業からサービス業へ」を掲げています。
当社にはマーケティングの部署はありません。各事業部が、そのブランドのビジネスのPLに責任を持ちます。つまり製品開発からサプライチェーン、チャネル戦略、コミュニケーションなどブランドの損益に関する全ての責任を担います。私は「ネスカフェ」ブランドについて担当しており、今回はその視点から取り組みについてお話ができればと思います。
「ネスカフェ」は、家庭内外において"最も愛され、最も革新的なコーヒー体験を提供する"ソリューションブランドへ進化することをビジョンに掲げています。冒頭で説明した「モノから体験」へとシフトしています …