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企業・産業の変革の先にある未来の社会と働き方 (落合陽一×内永太洋)

アクセンチュア

顧客体験を起点とした企業変革を支援する世界最大のエクスペリエンスエージェンシーであるアクセンチュア インタラクティブはクリエイティブブティック出身者など今、多様なタレントが集まる組織になっています。日本統括の内永太洋氏が落合陽一氏と、これからの働き方について話し合います。

(左)アクセンチュア インタラクティブ 日本統括 内永太洋氏
(右)落合陽一氏

衣装協力:ヨウジヤマモト

──アクセンチュア インタラクティブでは意図的に多様な人材が集まる場を目指しているそうですね。

内永:クリエイティブブティックや広告会社出身など多様なタレントが活躍する組織になっています。ケイパビリティごとの仮想的なチームがあり、各自が複数のプロジェクトを担当します。プロジェクトが増えるにつれ必要なタレントも重なってくるので、形式的に部門で分けるより、ケイパビリティで分けたほうがニーズに合うしコスト効率も良くなる。

落合:日本の企業ではこれまで「継続企業の前提」の考えで部門を分け、それぞれに管理権限を分散させるのが一般的でした。

内永:僕は複数の新事業開発を手掛けているのですが、事業をつくればつくるほど、領域は違うのに求められるケイパビリティが重なっていくようになると感じています。

落合:複数の能力を持った人材の希少性が、高まっているということですよね。それは、使途別の異なる個人的能力を持った人たちを集めて組織をつくっても、うまく機能しないことがわかってきたから。複数の根を持った人たちで組織を組まないと、うまくいかないのだと思う。

内永:でも昔は、いろいろなことに手を出すと忍耐力がない、と怒られました。

落合:人の寿命が延びているから時間はあるし、2つのことを習得してもいいんですよ。親世代は65歳まで働けばよかったかもしれないけれど、今の世代は90歳くらいまで働かなければいけない。そうなると30代くらいまでは、学んでいていいと思う。

内永:組織をマネージすることを考えても、自分が多様なエクスペリエンスを積んでいないと、多様な人材は生かせないとも思います。

──いま複数のケイパビリティを生かした働き方が広がりつつあります。

落合:副業を後押しする流れがあるから、複数の能力をもって多様な働き方に挑戦できるようになってはいる。ただ個人の作家や経営者、専門家であれば、複数の仕事をするほど収入は増えるかもしれないけれど、事務作業や会社勤めの仕事の場合、2つの仕事をすれば、営業の負担も事務作業も2倍に増える。単純に収入が2倍になるわけではないから。

内永:時間を売るような仕事をしている人にとっては厳しいですよね。

落合:そう。例えば、医者で弁護士という人がいたとして、その2つの専門性を生かせる場は医者、弁護士それぞれの仕事の現場にはないから、収入が2倍になるわけでもない。

内永:おっしゃるとおりで今、複数のケイパビリティを生かそうと思ったら、何をやるかを戦略的に考えた方が良いですよね。僕も複数のビジネスを手掛けてきたけど、突然、ラーメン屋を始めたりはしない。関係がなさそうに見えても、これまでの派生の中に新しい仕事をつくっている。

そして、新しい仕事をするときは、自分のケイパビリティがその市場において希少性があるかどうかを考えています。例えば、今は人工でダイヤモンドと同様の輝きを持つ石はつくれてしまうから、その価値は輝きにあるわけではない。あれは石としての希少性に値が付いているわけですよね。人材も同じで、価値の源泉は希少性にあると思います。

落合:希少性は、人の欲望を駆動させます。この間、ジェフ・クーンズのうさぎの彫刻が約100億円で落札されたという報道があったけれど、あの作品の素材は鉄とのことでした。鉄の彫刻に100億円の価値が認められるのは、そこに芸術家の構築してきた文脈があるから。宝石や希少金属のように素材としての希少性のあるものには価値があるけれど、芸術家がつくりだす独自の文脈は他の人には真似ができないものだから、宝石や希少金属よりも高い鉄が存在しうるわけですよね。

内永:でも個人が、組織において希少性を守るのには、勇気が必要です。システムは希少性を排除する方向に動きますから。企業は新しいものを生み出せなければ衰退してしまうから、希少性を求めるのだけど、でもそれを受容できない環境もある。

落合:そういう話でいくと、僕が最近、気になっているのが「大量生産品が社会認知や心酔を含む特権的な付加価値を保てるのは何年か?」ということ。欧州の高級車産業のように生産量を少なくすれば希少性が生まれて特権的な付加価値を保てるかもしれないけれど、製造・販売の市場寡占状態を維持しなければならない大量生産品で特権的付加価値を維持するのは難しいな、と。

個人が副業をする時にも、これと同じような微妙な平衡を持った戦略を考えないといけないわけで、それは結構、大変なこと。だから交渉代理人に任せられるようになれば良いし、計算処理や機械で自動化されていけば良い。2040年くらいにはそういう仕組みが実現していると思うけど。

──二人はこれまでに自分自身の手を動かして、モノや事業をつくってきた経験が多いように思います。

落合:僕は世の中には「間違った未来」が、いっぱいあるなと思っていて。例えば、自動機械をつくろうとすると、まずは鉄腕アトムみたいな身体性をもった機械をつくろうとしてしまいます。でも眼鏡型装置をかけると、浮かび上がる空中映像のアトムをつくる方が実現可能性は高い。でも美学や憧憬を先行させる人は、限界費用が低く、導入が現実的な立体映像のアトムをかすりもしないで、いきなり物理的な身体からつくろうとして失敗してしまう。

内永:ホログラムのロボットでも感情移入できるようになると思いますけど。

落合:今の機械学習関連分野の開発にも、この話に近いことが起きています。今の深層学習が得意とするのは伝書鳩や牛車の先導のような認知的単機能の役割。牛と同じ役割なら自動運転車が担えるようになると思うけど、そこで高度な判定能力の議論が出てくる。

例えば不測の事故に直面した時、判定機はどう判断するのか、など人命に係わる哲学的な話がついてくる。事故は、物理的な環境を構築することで回避する方法はあるかもしれない。それなのに、判定機に自ら判断できる知能がなければ、自動運転は実現できないと思ってしまう。

内永:今の自動運転の話のように、これまでも人間って、まずは手を動かしていたというか、そこまで深く考えずに進化してきたのだと思いますよね。

落合:自分で企画発案から実装に至るまでの一連の流れや仕組みをつくった経験があるかどうかは、重要。そういった動作する製品や仕組みをつくってきた経験のある人は肌感覚が違うから。

内永:大事なのは経験で、そこに年齢は関係ないですよね。とにかく、やってみないとわからないことが多いから。僕は失敗した経験を問われると「ない」と答えています。それは、うまくいかなかったら軌道修正をして、何かしらのゴールに到達してきたから。まずは動いて、経験をしてみる。その経験が自分の未来につながるのだと思います。

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    Email:info.tokyo@accenture.com

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