「マーケターの集合知で日本に突き抜けた成長力を生み出す」ことを目的に設立された「JAPAN CMO CLUB」。すでに参加マーケターも100名規模にまで成長している。定期的に開催している異業種のマーケターが集まる研究会の場で見えてきた、これからの日本のマーケティングが進むべき道とは。

写真左から
ワコール 執行役員 総合企画室 広報・宣伝部 部長 猪熊敏博氏
FWD富士生命保険 執行役員 兼 CMO 立川麻理氏
「JAPAN CMO CLUB」CMO 加藤希尊氏(セールスフォース・ドットコム マーケティング・ディレクター)
日本ケンタッキー・フライド・チキン 執行役員 営業戦略本部長 兼 営業戦略統括部長
小山典孝氏
マンダム 常務執行役員 マーケティング統括 西村健氏
ブランドを守り、育てる 決断を下すのはトップの役割
5年目に突入した「JAPAN CMO CLUB」の24回目となる研究会が4月17日に開催された。今回の出席者は、FWD富士生命保険の立川麻理氏、日本ケンタッキー・フライド・チキンの小山典孝氏、マンダムの西村健氏、ワコールの猪熊敏博氏の4名。
マンダムとワコールは、それぞれ大阪と京都に本社を置く、ともに関西を代表する企業だ。関西には発想力が溢れる創業者により立ち上げられた、魅力的なDNAを持つ企業が数多く存在する。ブランドのDNAを途切れずに継承しながら、創業当時と大きく変わった市場環境の中で、新たな市場・顧客開拓のチャレンジも求められる。猪熊氏、西村氏の話からは多くの共通点が見えてきた。
「改めて、創業者の精神を学び直すことが大切だと考えている」という猪熊氏の発言には、西村氏も深く共感を示していた。強い創業者の志を引き継ぎながらも、創業時から大きく変わる市場環境の中で、新たな挑戦も同時に求められる。2社が抱える課題には多くの共通点がある。
市場環境の変化は産業構造をも変えている。人生100年時代と言われる昨今、そのビジネスの在り方自体にイノベーションが求められる生命保険業界では、さらなる挑戦が求められているという。立川氏は「生活スタイルや価値観の変化とともに、消費者が変われば、企業もそしてマーケティング活動も変わらなければならない。業界は違えども、あらゆる産業のマーケターがこの課題に向き合っているのだと感じた」と話した。
それを受け、西村氏からは「未来は過去の延長線上にあると考えてしまいがちだが、企業が生き残っていくためには非連続的な価値をつくりあげることが重要」との発言があった。
今回、議論が盛り上がったテーマのひとつにBtoBtoCのビジネスモデルにおけるDNAの浸透がある。参加した4社はいずれも、お客さまと企業の間を仲介する「B」が存在する。自社の社員だけでなく、消費者との間を仲介するパートナーにも、ブランドのDNAをいかに理解してもらえるかは、難しい課題。小山氏は「自分たちは何を提供している企業なのか、ターゲットは誰なのかを再定義し、それを社内やフランチャイズ店に広めるなど、インターナルのブランディングに改めて取り組もうとしている」と話した。
最後に加藤希尊氏から「これまでの研究会で、多くのマーケターが向き合う課題は、日本社会が抱えている課題であることがわかってきた。この課題に、どう向き合えばよいのか。そこでは消費者を理解するだけではなく、今の時代に合った価値を提供できる企業組織をつくるため、社内に対する働きかけも必要とされている」と研究会を総括。
さらに「『JAPAN CMO CLUB』は『日本に突き抜けた成長力を』というビジョンを掲げており、活動を通じて、日本を活性化できればと考えている。CLUBに参加する同士とも言えるマーケターの皆さんと、このビジョンを実現させていきたい」と展望を語った。

「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWebメディア「アドタイ」にてレポート中です。
https://www.advertimes.com/special/cmoclub/
(本組織はセールスフォース・ドットコムと宣伝会議が共同で設立したものです)