機能以上に体験(Experience)の価値が企業にとって重要な競争軸になる時代が到来している。カスタマーエクスペリエンスの質を高める上では、カスタマージャーニーの各ステージにおける顧客接点において顧客が何を考え、何を求めているのかを整理し、事業成長につなげていくことが求められる。国内外の最新の「カスタマーエクスペリエンスマネジメント」戦略について紹介されたアドビ システムズ主催の「Adobe Customer Experience Seminar 2019」をレポートする。
多様な接点での一貫性 体験が重要視される理由
セミナーの第1部では「企業成長の鍵となる、顧客体験マネージメント“CXM”とテクノロジーの活用」をテーマに、アドビ システムズ デジタルエクスペリエンス営業本部 市場開発部長のプラブネ・マニッシュ氏が登壇した。
近年、カスタマーエクスペリエンスの重要度が増していると言われているが、マニッシュ氏は「なぜ必要なのか?から考え始めなければいけない」と指摘する。
スマートフォン、SNSが浸透し、世界には異なる価値観を有する多様なコミュニティが誕生した。たとえ同じ家の中で暮らしていても、接触しているメディアもコンテンツも異なるのが当たり前の時代と言えるだろう。この状況は一人ひとりの生活者の嗜好性をさらに細分化させていく。そして興味が異なるからこそ、企業のコミュニケーションもパーソナライズする必要が生まれているのだ。
また嗜好性の多様化だけでなく、企業と顧客の接点の多様化、複雑化も昨今のマーケティング上の課題だ。リアル、デジタルを自由に行き来する消費者と相対する企業は、複数のチャネルをまたぎ、なおかつ一貫した姿勢でコミュニケーションすることが求められている …