友松重之氏は、クライアント企業に対してマーケティング投資最適化配分を実現するソリューションを提供する企業のトップを務めたほど、データ解析・効果検証に精通する。日本における効果測定の歴史を知る友松氏に、技術進化で実現可能になっていること、そしてアメリカン・エキスプレス・インターナショナルでの取り組みについて話を聞いた。
商品基点のデータから個客基点のデータへ
昨今、ビッグデータを用いた広告効果測定に取り組もうとする企業は増えているが、友松氏は自身の経験から「2000年頃から国内においてもすでにデータを保有し、効果測定に活用を始めている先進企業は存在していた」と指摘する。
ただ、現在との大きな違いがそこで扱われるデータの量だ。顧客とのデジタル接点が増え、データを捕捉しやすくなったこと、さらにそのデータ量に応えるだけの解析のテクノロジーが進化したことで、効果測定の精度は向上しつつある。また友松氏は、データの粒度と精度についてもこう言及する。
「2000年頃はデータと言っても売上データが中心、つまりは商品基点の分析が主であった。しかし、インターネットが浸透したことで、オンライン上の消費者の行動履歴が取得できるようになり、購買前後の行動まで把握できるようになった。3rdパーティデータを活用すれば、把握できる範囲はさらに広がる。つまりは、現在は顧客基点のデータ解析が可能になっていると言える」。
その後、クラウドコンピューティングの出現で、大量のデータを瞬間的に分析できるだけの基盤も整った。粒度・精度の細かい顧客、さらには個客ベースのデータも分析が可能になっているのが現在の状況だ。
キャリアのスタートとなった広告会社時代から、「企業から予算を預かっている立場で、どれだけ成果が上がるのか見込みが見えない中、広告投資を決めるのは、あまりに不安が大きい」と感じていた友松氏は、ビジネススクールの教科書を紐解きながら当時は、エクセルを使って自ら投資効果を予測するモデルをつくっていたという。「始めた頃は、相関関係を分析できる変数は、多くて5個程度」と話す友松氏。それに比べると、メディアが増えた現在の環境に対応できうるだけ、分析の基盤が強固になっていることが分かる。
米国のマーケティング投資分析のコンサルティング会社のアジア代表を務めた経験もある友松氏。その時の経験から、「最新のソリューションを使えば、テレビCMのスポット・タイムの出稿量、ネットであればバナーや動画、さらに店頭でのプロモーション活動など、複数の変数を入れると、最適な投資配分が絶対平均誤差5~10%の間で予測が可能 …