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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

社員の幸福度を高めるためのワークプレイスの構築

乃村 隆介氏(乃村工藝社)

今月のテーマ:インターナルコミュニケーションのクリエイティブ

「インターナル(社内向け)」のコミュニケーションが果たす重要性は、生活者の価値観が多様化する中で、ますます高まっています。今回は、社員に目指すべき姿を言葉で示すコーポレートメッセージと、コミュニケーションを活性化させる空間デザインのクリエイティブについて紹介します。

    「社内を活性化する『空間』創造」のここがポイント!

  • 働き方を考えることはワークプレイスを考えること。
  • 会話が生まれる空間創造の起点はSHARE(共有)。
  • コミュニケーションの活性化に必要なのは、機能の提供ではなく、きっかけづくり。

変化する社会環境にともない、ワークプレイスに課題が生まれる

近年、ライフスタイルは多様化し、人々の価値観も細分化されました。その変化は私たちの想像よりもはるかに急速に進んでいます。少子高齢化や労働力不足といった社会課題がある中、政府主導の働き方改革はさまざまな形で実践され始めています。

当社にはアイデアを研ぎ澄ませるため、時間枠にとらわれずに働くインテリアデザイナーやプランナーが多数勤務しています。

社会の変化にともなって働き方も変化している今、考えるべきは会社と社員がつながりを深める「場」をどうつくるかということ。

良い社会をつくるには、社員が仕事や会社に誇りを持ち、人生の幸福度を高めることが不可欠。そこで今回は「社内コミュニケーションが活性化する場所づくり」について、空間創造活性化のプロフェッショナルの視点からお話しします。

この先、日本企業はAI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)をはじめとするIoTの影響を大きく受けることでしょう。業務効率化や生産性の向上に関しては、当社でもサテライトオフィスやフレックスタイムの導入など、各人に合わせた働き方が選べるよう環境を整えています。

どこにいても誰とでも繋がれる仕事環境は素晴らしいですし、数年前までは考えられなかったワークスタイルイノベーションが起きていることは間違いありません。

しかし、その一方で組織の縦割り化や細分化などが進んで働く場所までが自由になると、新たな課題にも直面することになります。直接話をする機会や偶発的なコミュニケーションが減ることで、知識や経験などが共有されにくくなるのです。社内の人材交流を促し、社員間の連携を維持・強化するのに、コミュニケーションの活性化はなくてはならない要素です。

次に、最近のワークプレイスの流行を米国の事例から見ていきましょう。一時期、グーグルに代表される西海岸のスタートアップベンチャーのオフィススタイルが日本でも流行しました。オープンで遊びの要素が詰まった空間は、リラックスして創造活動するには最適です。グーグルの共同創設者は「仕事は挑戦に満ちていなければいけない、挑戦は楽しくなければいけない」と言います。遊びのある空間にはこうした理念が表現されているのです。

とはいえ、こうした空間をそのまま日本へ導入できるでしょうか。多くの日本企業では、部署や年齢、性別といった"区別"の障壁が立ちはだかることになるはずです。

日本企業でコミュニケーションが生まれやすい空間とは?

そうした障壁を取り除く一例として、当社での取り組みを紹介します。

当社は創業126年という長い歴史を持ちますが「人間尊重に立脚し、新しい価値の創造によって豊かな人間環境づくりに貢献する」という経営理念を謳い、「人」こそが最大のリソースであることを掲げてきました。社員の増加により収容数の限界が見え始めた2年前のこと。ワークプレイスの課題を解決する社内コンペが行われました。その結果、空間の制約を克服しつつ社員が誇りを持って働ける空間を提案した、私のチームのプランが選ばれることになりました。

もっとも優先したのは、創造活動に必要な情報をインプットできる環境をつくることでした。当社では異なる専門職メンバーがチームを組むことが多く、雑談や思いがけないきっかけからアイデアがひらめく、柔軟な発想力でものづくりを続けてきた会社です。

そこで、新たな空間コンセプトを「SHARE」としました。知識や経験を共有することで創造の起点を生み、その先にイノベーションが起きることを期待したコンセプトです。

そして今回「リセットスペース」という名の空間が6月末に当社のオフィスにオープンしました。これは社員間のコミュニケーションを活性化させ、新たな価値創造が生まれる実験場です。ココロもカラダもリセットして個人の活力を取り戻すこと。それが会社の使命である「歓びと、感動」をお客さまに提供し続けることにつながると考えたからです。ちょうど東京2020大会のスポンサー契約を締結した時期でもあり、社員の連携強化に理想のタイミングでした。

空間デザインを組み立てるにあたり、従来はタブーとされていたことを実現させるのが最初のアイデアでした。例えば、気がねなく会話したり、体を動かしたり、飲食したり、寝ころんだり、誰にも邪魔されずに集中したり…。それぞれの好きなことをやりたいようにできる空間。そんな場所で心身をリセットできれば、業務効率は改善されるのではないかと考えました …

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