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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

情報過多の時代に刺さる「体験価値」 イベント施策の最新手法とは

明石 貴祐 氏

今月のテーマ:イベント企画のクリエイティブ・ディレクション

今般のコミュニケーション環境では、「CX(顧客体験価値)」が重点課題として認知されるようになり、企業は最新のデジタルテクノロジーを駆使しながら「より良い体験の提供」を目指してきました。こうしてデジタルを活用したバーチャルな体験の機会が増えていくなかで、"リアル"な体験、濃密なコミュニケーションを可能にする「イベント」への注目が高まってきています。今回はイベント企画・設計から、集客、情報発信のノウハウまで幅広く解説します。

    「イベントを活用したコミュニケーション設計」のコツ

  • 中長期的なコミュニケーションロードマップを描き、その中でイベントが担える役割を考える。
  • イベントを通じた生活者への情報設計では、「生活価値向上への寄与」を具体的にイメージさせる。
  • 「イベント後」のコミュニケーションも設計し、時流に合わせた「体験価値」拡散の仕組みづくりを行う。

イベントの目的を明確にし中長期戦略における役割を設定

情報が溢れかえる昨今において、生活者に情報を届けることは非常に難しく、短期的な施策の効果は弱まってきています。そのため、まずは短期的ではなく半年・1年・数年単位での「商品/サービスを知ってもらう"認知フェーズ"」から「最終的には商品を使ってもらい、コアユーザーになってもらう"ファン化フェーズ"」までを描いた中長期的なコミュニケーションロードマップを設計することが大切だと考えています。その上で、各フェーズにおける具体的な施策を考え、実行し、改善していく、という進行の仕方が理想です。

上記の「ロードマップ」において、イベント施策は重要な役割を担います。理由はシンプルで、イベントは「生活者とのリアルコミュニケーション」を可能にするからです。

コミュニケーションターゲット(生活者)に情報を届けることだけでさえ難しいこの時代に、最低でも数分間来場者の時間をブランドのために独占することができます。さらには、リアルの場でのコミュニケーションは、人の記憶に情報を残す上で最も効果的な「対話」や「体験」を可能にします。

コミュニケーションロードマップを設計する際は、「イベントだからこそ担える役割はあるか。あるなら、どのような目的で、どのような形態のイベントにし、誰を対象に、どのようなコンテンツ/情報を提供すべきか」を考えます。ここで重要なのは、「この1回のイベント施策での目的」を明確化すること(=目的の優先度の明確化)です。

この情報過多の時代では、一度の接触だけで「知ってもらい」「興味を持ってもらい」「好きになってもらい」「それを口コミで広めてもらうこと」はほぼ不可能です。理解促進や認知獲得など、目的の優先度を明確化し、その目的を達成するための情報/コンテンツ設計と効果測定方法の設計を行います。

クローズドイベントはライフスタイル提案のための場

一言に「イベント施策」といっても、さまざまな形態が存在します(図1図2を参照)。

図1 ファネルフェーズ別イベント形態例と対象者


図2 クローズドイベントとオープンイベントの概要

ロードマップ上の役割や目的に合わせて、誘致対象者、提供情報やコンテンツ、イベント形態を設計します。例えば、新商品発売時・ブランドローンチ時は「認知獲得」を目的に新商品発表会等を実施することが多いですが、発表会では多くのリーチの確保に対する優先度が高いため、コミュニケーションターゲットへの情報訴求はメディアやインフルエンサーを介した間接的手法になる場合が多くあります。

もちろん、ただリーチすればいいわけではなく、それぞれのメディアやインフルエンサーが抱える「読者層」に合わせた情報設計が必要になります。その際の設計のポイントとしては、媒介者(メディアやインフルエンサー)の読者やフォロワーの特徴(メディアやインフルエンサーに何を期待しているのか)を分析し、その上でイベント時に提供する情報やコンテンツを決めていくことです。

つまり、訴求対象(ターゲット)がどのようなことを求めているかを踏まえ、理想となる露出イメージを設定し、そこから逆算してイベントコンテンツや提供情報をカスタマイズするようなイメージが必要です(もちろん、PRしたい商品の要素を取り入れることは前提です)。

例えば、日頃からコーディネート情報をアップしているファッションインフルエンサーのフォロワーは、インフルエンサーに対して「プライベートで参考となるコーデ情報」を期待していたりします。それを無視して、フォロワーに、コスメブランドの新商品の「ブツ撮り写真」や「メイクデモンストレーションの様子」を届けても、共感されにくい可能性が高いわけです。

では、そのような層には何が響くかというと、例えばですが「肌寒い秋の平日オフィスコーデに合うオススメAWメイク」といったファッションとメイクを掛け合わせた情報(=インフルエンサーの特性を踏まえたクリエイティブテーマ設定)が効果的に働きます。

また、読者やフォロワーが期待していることに加え、「その商品を取り入れると、自分がどう変わるか」というベネフィット要素を踏まえた情報を設計すると、良い反応が期待できます。どのようなテーマにするかはインフルエンサーからも意見をもらって決め、その上でフォロワーに「PR商品を取り入れたスタイル/ライフスタイル」提案していく、といったイメージです。

オープンイベントは潜在ファンに想いを伝えるお見合いの場

前述したように、この情報過多の時代では「短期的ではなく中長期的なコミュニケーションを通じてブランドを好きになってもらう」という考え方を持つべきだと思っています …

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