消費者と企業との接点がWebやSNSといったデジタルチャネルへと広がる中、多様化・複雑化する消費者の行動を捉え、可視化する「カスタマージャーニー・マップ」を描くことの重要性は、多くのマーケターが認識している。しかし、行動をうまく捉えきれない、実務への落とし込み方が分からないといった声も少なくない。本セミナーでは、企業の手元にあるデータを用いた、ビジネスの成果につながるカスタマージャーニーの活用方法を紹介した。
フィリップス エレクトロニクス ジャパン マーケティング メンズグルーミング マネージャー 藤井崇雅氏
販売最大化を実現した“フィリップス流”活用法
2部制で行われた本セミナー。第1部の基調講演に登壇したのは、フィリップスの藤井崇雅氏。「すべてのコミュニケーションプランニングは、カスタマージャーニーを把握することからスタートする」という全社方針の下、男性向け理美容製品のマーケティングにおいてどのようにカスタマージャーニーを活用しているかを紹介した。
「日用品であるシェーバーは、常に消費者の頭の中にあるカテゴリーではありません。シェーバーの購買を検討している人に対して適切なタイミング・内容でコミュニケーションし、コンバージョンさせることが重要で、そこではカスタマージャーニーを起点としたアプローチが必須です」と藤井氏。カスタマージャーニーを把握し、それに基づいて全体のメディアプランを策定した上で、各タッチポイントの施策へと落とし込んでいく――こうしたプロセスを踏むことのメリットについて、藤井氏は
(1)各タッチポイントのKPIや役割が整理される、
(2)コンバージョンから逆算したコミュニケーションプランを立てられる、
(3)デジタル担当者やエージェンシー
など、さまざまな関係者と共通認識をもってプランの改善ができる、などを挙げる。
フィリップスでは、カスタマージャーニーを6つの段階に分けて捉え、各段階において「消費者にとっての障壁は何か」「それを払しょくするためのコミュニケーションとは何か」を整理し、タッチポイント毎の目的・KPIを設定する。そうした仮説設定や戦略策定はすべて、社内外から入手できるさまざまな定量・定性データを基に行っているという。こうした取り組みにより、2014年12月には3.4%だったコンバージョンレートが、直近では8.9%まで向上。マーケティングROIの大幅な改善につながった。
Webログデータで実現できる実践的カスタマージャーニー
ビービット ソフトウェア事業部 コンサルタント 生田 啓氏
第2部に登壇したビービットの生田啓氏は、“思い込みでつくり上げたユーザー像”を起点にコミュニケーション戦略を策定する企業が少なくないと指摘、カスタマージャーニーは実際のユーザーの行動から描くことが重要であると強調した。真のユーザー像を捉える上で有効なインプットの一つとして、生田氏はWebログデータを挙げる。
ログデータを説明する際に注意すべきポイントは「ユーザー一人ひとりの行動データを分解して見る」ことだと生田氏。「例えば『昨日◯◯を買ったAさんは、3カ月前に初めてサイトにアクセスし、直近1カ月間のこうした行動を経て、購買に至った』というくらい、個別具体的にデータを見る。そこから見えてくる一人ひとりの行動変化を可視化することでカスタマージャーニーを捉えることができます。アンケートなどで得られる定性データと紐づければ、より正確なユーザー行動を把握できます」。対象者20~30人を抽出して、その行動をつぶさに追った上でパターン化し、定量的に分析・検証を行う。たったそれだけでも、十分に精度の高いカスタマージャーニーが把握できると生田氏は話した。
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