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業界リーダーに聞きました(3)プロデューサーになるために最も大切なこと

大磯俊文(ENGINE PLUS プロデューサー)

「プロデューサー」。その名はよく耳にする職種です。最近では「ドラえもん」ひみつ道具の再現プロジェクトのプロデュースを手がけた、エンジンプラスの大磯俊文さんが「人と人をつなぐ」プロデューサー職の魅力と、それを目指す人へのアドバイスを語ります。

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ソニーが水資源の保護活動に取り組むことを訴えるテレビCM「Water Rock」は、NTTドコモ「森の木琴」の制作チームが再結集して実現した。九州・熊本の水源地帯で撮影・収録した水の映像と水滴の音を組み合わせ、「パッヘルベルのカノン」を奏でる。

プロデューサーとはどんな仕事ですか。

「広告」は、新しいモノをつくれる仕事で、それが制作会社の楽しさのひとつ。特にプロデューサーは、誰も見たことのないものに最も多く触れられます。自らモノを生みださないかわりに、いろいろな才能を組み合わせて何でもつくりだす職業なのです。プロデューサーの仕事は仲介役として、スタッフ選び、予算やスケジュール、進行の管理が主な役目となります。

僕は最初からプロデューサー志向でした。人のつくったものを見ているほうが好きで、コレとアレをくっつけたら、別の新しいものができるはずだ、そう考えるのが楽しくて。実際、広告業界には優れたアイデアを持つ人がたくさんいます。彼らが才能を発揮できる場をつくるのが好きなんです。

学生のうちにしておきたい、仕事につながるアクションは何か。

「○○については何時間でも語れる」、そういう何かを見つけ、つきつめておくことでしょうね。

僕の場合は、それがアートでした。実はキュレーターになりたかったんです。広告業界が第一志望ではなかった。広告の世界に入るために美術を勉強していたのではなく、単に好きだったんです。食でも旅行でもかまいません、一生でも続けられる何か。広告業界に入るため、といった打算的な考え方だと続かないし、身につきません。

それがどう活きてくるかと言うと、スタッフ選びなんです。「この人のココが良い」「この良さを、こんなふうに活かしてみたい」という着眼点は、自分の好きなものを追求したことが素地になっていると、いま振り返って感じます。良し悪しの「モノサシ」が自分の中にできて、実感を持って人に向き合える。それがどう良いのかを自分なりの言葉にできるようになるわけです。

例えば企画を持って監督に依頼に行っても、実感を持って頼んでいるかどうかは、言葉に出ます。そして「本心から思っているかどうか」はすぐバレてしまう。あるいは、そもそも見当違いの人にお願いしてしまっているかもしれません。そうならないためにモノサシが必要だと思っています。

このモノサシは一生完成しませんが、ある程度経験を積めば精度が上がってきます。そのモノサシを早い内からつくりはじめよう、ということです。

学生時代に身につけたいスキルは。

クリエイティブチームがいいものをつくれる環境を保つことがプロデューサーの腕の見せ所です。会議が停滞すれば話題のきっかけを提供したり、スケジュールが滞らないよう先回りして手を打ったり。大切なのは、常に複数のシナリオを持っていることです。ベストからワーストまで、どのシナリオに落ち着くか、いつも考えている。

レールから外れる時には、必ず兆しがある。メールの返信が少し遅い、そんなちょっとしたことを見過ごさず、気を配ることができるかどうか。

学生でも、友だち同士やバイト先、サークルでも、ほんのささいなことから、険悪になってしまう、なんてことがあるはずです。

僕らは人と人をつなぐ仕事なので、こうした微妙な予兆を嗅ぎ取らねばなりません。でなければ、単なる連絡係になってしまいます。

若いうちは「自分にしかできないこと」に目を奪われがちですが、プロデューサーにとっては、「誰かがやらないといけないこと」に取り組むことも大事です。誰でもできそうなこと、情報をまとめる、段取りをつける、そういうことも進んでやる。「誰かがやらないといけないこと」をやっていると、いつしか、かけがえのない人になっていく、そんなふうに思います。

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エンジンプラス取締役 執行役員プロデューサー
大磯 俊文氏(おおいそ・としふみ)

1992年エンジンフイルム入社。1998年から2年間、CMプロデューサーの傍ら、スカイパーフェクTV!(当時)の編成プロデューサーとして、番組づくりにも携わる。NTTドコモ「森の木琴」プロデューサーとして、カンヌライオンズ2011 フィルムクラフト部門金賞を受賞。現在は、WEB、映像、イベント、アプリなど広告に関連する様々なジャンルを、トータルでプロデュース中。
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