登録ユーザー数が世界で3億人を突破し、その動向に常に注目が集まるLINE。定期的な新卒採用は2012年度入社から開始してまだ3期目だ。"無料通話アプリ"に留まらず、新規事業を次々と打ち出し続ける同社が求める人材とは?
2015年度は新卒採用特設サイトを設けておらず、LINEを使って情報発信を行っている。友だちは2013年12月時点で約500人。「WEBサイトだと、一般公開されることを前提とした内容にせざるを得ませんが、LINEであれば学生だけを意識した情報を発信でき、当社に興味がある学生としっかりつながることができます。説明会には開催回数に限界があります。海外を含めて、エリアに捉われることなく、当社のリアルな情報を伝えたいと考えています」(薮田氏)。
LINEで働くために必要な素養は?
当社の社員が仕事を進める上で大切にしているのは、(1)スピード、(2)クオリティ、(3)フレキシビリティです。この3つの要素をバランスよく持ち合わせている人が、当社で良いサービスを生み出すことができると考えています。我々の業界は世の中の変化にスピーディーに対応することが求められますし、なかでも当社の事業は目まぐるしく変化していきます。そうした環境下で臨機応変に動くことができる柔軟性が不可欠です。高い品質のサービスを、スピード感を持って提供する。「最適なタイミングでリリースする」ということが、結果的にサービスの「質」につながることもありますから。
即戦力を求めるがゆえ、全社員の99%がキャリア採用。ただ、「即戦力」は新卒入社の人にも求めていて、どんな環境でもその場に応じて対応できるような基礎能力の備わった人を採用したいと考えています。入社後も、基本的なビジネスマナー以外は、研修をほとんど行いません。すぐ実務に入り、半年~1年後には現場の最前線で活躍するようになります。OJTを重視する背景には、当社の社員が持つ価値観をなるべく早く体感してもらいたいという思いもあります。たとえば、上司への確認や承認にLINEを活用することが珍しくありません。他社であれば決裁に数日から一週間かかるかもしれないことが、当社では数時間で決まることも多い。そのビジネスのスピード感に、できるだけ早く溶け込んでほしいと考えています(人材支援室マネージャー・薮田孝仁氏)。
学生時代にしておくべきことは?
やるべきことは時代や状況によって変化するので、特にこれといったことはありません。中長期的な戦略は立てず、3カ月単位の計画に全力を尽くすというのが当社の基本的な姿勢。それと同様、数年後あるいは半年先の入社を目指して、今この瞬間に必要だと思われることだけをやっても、あまり意味はないのではないかと考えています。
どんな人材を採用したいか。
何事も、自分自身で深く考えられる人です。「LINE」というサービスがこれまでになかったものであるように、当社のビジネスは「誰もやったことがないことをやる」ことが多いです。待っていても指示は来ませんし、過去の事例を探しても出てきません。よく"サッカー型"と説明するのですが、チーム=会社全体としての大きな方針はあるものの、いざピッチに立ったらプレーヤー=社員が自分で考えて動く。初めての環境でも、先輩社員の動きを見て即座に考え、自ら動くという主体性を何よりも重視しています。それができれば、知識は後からついてくると考えています。
新卒採用時に行う2~4回の面接でも、そういう考え方・動き方ができる人かを見ています。事前に用意してきた答えを繰り返しているだけでは、不思議とわかってしまうもの。突っ込んだ質問を投げかけた時の答え方で、その人がその場の状況に応じて自分の考えで動ける人かどうかが分かりますし、また考え方やロジックまで垣間見ることができます。
また、当社のビジネスを考えるにあたっては、ユーザーが満足することを徹底的に考える姿勢も重要です。どうしたらLINEでのコミュニケーションが活性化するかを考え抜き、サービスの品質を追求する。そこでは、相手のことを見る視点、人のことを考えようとする姿勢が欠かせません。「私が、私が!」と自分を全面に押し出すことも時には必要かもしれませんが、それよりも、「人」への興味とサービス精神が旺盛な人が、向いていると言えるかもしれません。