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業界リーダーに聞きました(2)アカウントプランナー編「人が気にしないことまで、気にかける力」

戸練直木(kazepro)

昨年の紅白歌合戦の番組宣伝を手がけ、8周年目で波に乗るカゼプロのアカウントプランナー戸練直木さんから、広告営業職を目指す学生へアドバイスを聞いた。

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カゼプロが広告や店舗デザインまで一貫して手がけたワコールの新業態店「AMPHI FUL FRU(アンフィフルフル)」のメインビジュアル。コピーライターはこやま淳子さん。アートディレクターは吉田ユニさんが手がけた。

社会人になる前に考えるべきことは。

本質的に広告が好きになれるか、どうかについて考えておいたほうがいいでしょう。ほかの業界では明快に、洋服が好き、音楽が好き、自動車が好き......そんなふうに言えるのですが、では「広告が好き」とはどういう意味なのか。私は、ひとつには「消費すること自体が好き」ということが挙げられると思います。広告は基本的にモノを売るための装置ですから、「買う」という行為の楽しさがわかっているほうがいいのではないでしょうか。物欲が全くない、というのはこの仕事をする上では少々怖いものがあります。

一例ではありますが、流通の世界では、低額商品ばかり陳列しても、人が集まらなくて失敗してしまうケースもあります。1万円のトレーナーを買ったり、数千円のTシャツを買う層はいる。一口に「モノが売れない時代」と言われますが、だからこそ消費者を研究して新業態を開発し、成功を収めている流通もあります。「購買」に当事者意識を持つことが大切です。そうでなければ、消費者インサイトをつかむことは難しいでしょう。

学生時代に身につけたいスキルは。

スキルというより、クセ、といったレベルかもしれませんが、いろんなところに興味を持って首をつっこむクセがあるといいでしょうね。いまや営業は、クライアントと一対一の関係を超えて、クライアントの先にいるお客様や事業を進める上で不可欠なパートナーの方たちと関わることも珍しくないですから。また、クライアント内で関係する部署がヨコの連携をとれていないこともままあります。そのとき調整役となるのは、私たち営業の仕事であり、それが面白いんです。

任せてはいても、どこか不安になってしまう、そして各部署・各担当に「いま、どんな状況ですか?」ってヒアリングしてしまう。常に状況を把握していたくなるのが営業のサガです。例えばメディア担当に話を聞くだけでなく、その先のテレビ局の担当ともコミュニケートする。そうした動きにとまどいがないとよいでしょう。

なぜ、これが大切かと言うと、クライアントのことを最も考えているのは営業だから。熱量に差があるのが人間です。人が気にしない分は自分が気にする。だから営業が責任者でいられる。営業は熱量のバランサーなわけです。

学生のうちにしておきたい、仕事につながるアクションは何か。

少々難易度が高いとも思いますが、お互いに面識のない友人同士を会わせてみて、できればその上で何か形にすることにチャレンジしてみては。社会に出てすぐ何かの役に立つ、というわけではないのですが、営業も経験を積んでくると、スタッフィングの手腕を問われる場面が出てきます。

案件に合わせた作風のクリエイターをセッティングすればいいわけではなく、クライアントの人柄、クリエイターの人柄、双方を気にかける必要がある。ここでウマが合わないと後々大変なことになります。もちろん入社したての新米にはそんなこと任されませんが、いずれ、と思っていてもいい。なぜなら営業の企画力、発想力は、案件に対して誰を用意するかだからです。

機械的に物が買える時代、広告枠もそのひとつになりつつあります。しかしいまだに、営業の、クライアントに対する接触のしかたや頻度、プレゼンテーションで勝負が決まっている。営業は最後まで人間性の生かされる仕事。広告会社は電通や博報堂、アサツーディ・ケイだけではありません。インターネット広告でもサイバーエージェントやオプト、セプテーニと数々の企業があります。逆に言えば、営業の発想力の違いがあるからこれだけの広告会社があるのです。

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カゼプロ株式会社 代表 取締役/フラワーレーベル 代表取締役
戸練直木氏(とねり・なおき)

1986年、第一企画(現アサツー ディ・ケイ)入社。2004年10月、アサツーディ・ケイ退社。同年11月、風とバラッドに参加。06年12月、カゼプロ設立。

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