丸井グループの健康経営は、2005年に着任した青井浩社長の経営方針と、産業医の小島玲子氏の考えが結びつくことで推進されてきた。その実行役を担った全社横断プロジェクトの設立経緯とは。
丸井グループは2014年に健康推進部、2016年に健康経営推進プロジェクトを立ち上げ、全社で健康経営を推進している先進企業。そのキーパーソンが同部部長でグループの産業医でもある小島玲子氏だ。
きっかけは社長との会話
同グループのように産業医が組織運営に大きく携わる例は珍しいが、初めからそうだったわけではない。小島氏も着任当初は面談や健康講話を行うだけだった。小島氏が全社を横断的に回りながら各事業所の特徴を資料にまとめていたところ、人事部長がその内容に興味を持ち、それが代表取締役社長の青井浩氏に伝わった。
青井社長は、すべての人の「しあわせ」をステークホルダーと共に創る「共創経営」を経営方針として掲げ、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念のもと、サステナビリティを重視した経営を行っている。
小島氏は、社長と話す機会があったときに、「産業医としての活動のゴールは何か」と聞かれ、「単にメタボが減る、健康になるということがゴールなのではなく、健康を通じて何を達成したいかが大事だ。健康を通じた『人と組織の活性化』と『企業価値の向上』を目指している」と答えたという。
青井社長はこれに共感し、サステナビリティのひとつのキーワードとして「健康」に注目するようになった。そして、2014年に健康推進部が立ち上がり、健康経営に取り組むことになった …