健康経営を推進するためには、トップの考えを従業員に浸透させることが重要。オフィス・仮眠実験・研修施設・ウェルネスイベントの事例から、従業員参加型の取り組みを実施するためのヒントを探る。
三菱地所は、2018年5月28日から約1カ月、12人の社員を対象に、仮眠の効果検証実験を実施した。実験は業務中に30分間の仮眠をとり、毎日タイピングテストやアンケートを実施して集中度や眠気などを測るもの。前半の2週間はテストとアンケートのみ行い、後半の2週間はそれらに加えて毎日30分間の仮眠を取り入れたところ、集中度の指標が平均10%程度向上。加えて日中の眠気も低減することを確認した。
働き方改革推進委員会を設置
同社は、2016年10月に「健康経営宣言」を発表し、「従業員が心身ともに健康で、最大限のパフォーマンスを発揮することが企業活力の源泉と考えます」と宣言した。
2017年4月には、健康経営を含む「働き方改革」の取り組みの実行部隊として、「働き方改革推進委員会」を設置。代表取締役 執行役社長の吉田淳一氏を委員長とし、人事・経営企画・総務・広報の担当役員と各部長計8人が参加している。委員会では、基本的な生活習慣である、「睡眠・運動・食事・飲酒・喫煙の5つの項目の改善が生産性の向上にも寄与する」と考え、各項目ごとにアプローチしている。
まず取り組んだのが、「健康カフェテリアプラン」。福利厚生の一環として、スポーツジムや人間ドックなど健康に関する支出に充てることができるポイントを全社員に付与した。さらに、"健康"に意識を向けてもらうため、社内でフィットネスプログラムを実施したほか、睡眠や食事に関するセミナーも開催してきた。
部署対抗で「カラダ改善」へ
なかでも、より多くの社員を巻き込むことができ、社内コミュニケーションの活性化にもつながったのが同年10月~11月に行った「カラダ改善コンテスト」。部署対抗で脂肪量・筋肉量・歩数を競い合うもので、全社員の4分の1にあたる約200人の社員が部署ごとにチームを組み、2カ月間のカラダ改善に取り組んだ …