規制対象になるレビュー対策
ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。
ウェブリスク24時
ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。
出典なしでコピペ転載されたら?
今年2月、インプレスが運営する「トラベルWatch」が、旭技研とイカロス出版の2媒体から記事をコピペして公開していたことが分かり、記事を削除して謝罪した。旭技研は「トラベルWatch記事が当紙を剽窃」とのタイトルで社告をネット公開した。
ネットメディアが乱立し、掲載コンテンツの獲得競争がすさまじいことになっている。そんな中、出典やリンクもなく、自分たちで制作した記事が、まったく別のサイトにコピー(剽窃)されるという事件がたびたび発生している。今年2月、インプレスの「トラベルWatch」に掲載された記事も旭技研の『Aviation Wire』と『月刊エアライン』(イカロス出版)からのコピペ記事だった。もしも自分たちの記事が、まったく別のサイトに、何の連絡もなくコピーされ掲載されていたら、一体どう対処すればいいのだろうか?
オリジナル記事の存在を知っている関係者の知人が、コピペ記事を見つけて知らせてくれることがきっかけとなって、問題が発覚するケースが多い。サイト管理者としては、通報を受けてどの記事がどのようにコピーされて公開されているのか、他にもコピー記事があるのかどうかなど、事実の確認をする必要がある。
実態が把握できたら、コピー記事掲載サイトの管理者か管理会社に連絡をする。この時、自分たちの意思として、記事を削除してもらいたいのか、出典を明らかにして元記事にリンクを貼ってもらいたいのか、あるいはまた別のことをお願いしたいのかを明確にしておくことが大切だ。なぜ問題が起きたのか、誰の責任か、再発防止策はどうするのかなどを文書でまとめてもらうよう求めておけば、それを自社内の報告にも使える。
メディアによって、著作権の認識や責任範囲、あるいは対応の仕方に随分差がある。ネットで話題になるネタに特化して集めるバイラルメディアと呼ばれるサイトでは、社外の登録ライターが記事を書いていることが多い。閲覧数に応じたインセンティブを支払うモデルで運用されていて、著作権違反はライターの責任にしている場合が少なくない。サイト側は指摘を受けた記事を削除して終わりというわけだ。サイバーエージェントが運用しているバイラルメディアでコピペされた記事を見つけ、やり取りしたことのあるネットメディアの編集長は、記事に対する意識やスタンスが無責任すぎると言い、「こういうものはメディアと名乗らないでほしい」と憤慨していた。
他社の例を参考に、問題が起きる前にやっておきたいことがある。自社で運用するサイトにも、記事の適切な引用やリンクの方法について、見つけやすいところに分かりやすくまとめられているかを確認しておきたい。
今、多数の配信先に自動転載される仕組みを持つニュースサイトが増えている。その方がコンテンツの閲覧回数が上がり、より多くのトラフィックが生まれるなどメリットがあるからだ。この機会に改めてどのようにコンテンツを使ってもらいたいかも確認し、仕組みづくりに活かしたい。
ビーンスター 代表取締役 鶴野充茂(つるの・みつしげ)国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くPRとソーシャルメディア活用の仕組みづくりに取り組む。著書は『エライ人の失敗と人気の動画で学ぶ頭のいい伝え方』(日経BP社)ほか30万部超のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。公式サイトはhttp://tsuruno.net |