ベネッセの事件に続き、発覚した日本マクドナルドの食材問題。「その背景には、消費者が企業姿勢を理解するリテラシーの向上がある」と企業コンプライアンスに詳しい弁護士・山口利昭氏は指摘する。

ベネッセの企業サイトでは今回の事件に関して、寄せられている問い合わせ内容と回答を公開している。
ベネッセの問題発覚から10日余り経過した7月20日には、中国の国内ニュースによって、上海の食品加工会社における消費期限切れ食材の使用事実が報じられた。さらに、これを日本の外食企業も納入していることが判明した。食材を仕入れていた日本マクドナルドは、仕入先を中国からタイの食品加工会社へすべて変更することを公表した。いずれも消費者の生命や財産の安全が脅かされた事件であり、企業の業績に大きな影響を及ぼす不祥事である。これらに共通している点は「会社が自ら不祥事を発見したものではない」ということである。
ベネッセの個人情報流出事件は、他社からダイレクトメールが届いた顧客が不審に思い、これをベネッセ側に問い合わせたことに発覚の端緒がある。また消費期限切れ食材事件では、中国の工場に契約社員として潜入していた者による内部告発である。いずれの事件も消費者に顕著な被害が発生しているわけではないので(8月初旬現在)、誰かが不祥事に気が付かなければ、そのまま続いていたかもしれない。
つまり、消費者にとってみれば、これらの不祥事から「企業の提供する商品やサービスについて、100パーセントの安全というものは存在しない」「安全は外から見えない」と認識せざるをえない、ということになる。
「安全」アピール企業に鋭い視線
ただひとつ言えることは、時代の流れの中で、企業の不祥事はバレる可能性が高まっているということ。なぜなら ...