日本各地で放送されているローカルの報道・情報番組の数々。地元情報に完全に特化している番組もあれば、そうでない番組もある。自社との何らかの接点を見出すことで、実は地方局も狙い目かもしれない。
中部
微細なローカル性と文化ものづくり企業への熱視線も
地元一辺倒では満足しない?
東京と関西の中間に位置する中部地方は、他のエリアとはまた異なるローカル性を持っている。最大の特徴として挙げられるのが、自動車産業をはじめとする、地場のものづくり企業に対する注目度の高さ。その一方で、“モーニング”など独自の喫茶店文化に由来する「ほのぼの感」あるニュースや、いわゆる「井戸端会議」で盛り上がるような話題が求められているのも中部ならではと言えるだろう。
その地元愛は根強いが、実は地元一辺倒では満足してくれない側面もある、という声も。今回は名古屋テレビ放送『ドデスカ!』 佐藤辰美プロデューサーに企業ニュースの扱い方について聞いた。
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名古屋は一番難しい?地域ごとに異なる地元情報のバランス
名古屋テレビ放送(メ~テレ)の朝の情報番組『ドデスカ!』は2011年4月より放映しているが、前身の『どですか!』(2002年4月~2011年3月)の時代を含めると10年以上続く人気番組だ。朝の支度で忙しい主婦とその家族をターゲットとしており、競合となる他局の同時間帯には全国ネットの情報番組が並ぶ。
その中でローカルの朝番組ならではの強みをよりはっきり打ち出そうと、2011年の番組リニューアル時に佐藤辰美プロデューサーは大阪・福岡の各局の朝番組を視察。リサーチを重ねた。そこで分かったのは「名古屋のローカル番組の制作が一番難しい」ということだった。
「どのエリアも地元愛が強いけど、特に福岡と大阪の強さは際立っているんです。朝の番組でもプロ野球など地元スポーツチームの話題や、ローカルの人気店に焦点を当てていれば視聴者は見てくれる。でも名古屋は、名古屋のことだけでは満足してもらえない。同時間帯に流れている東京の朝番組が流す情報にも興味があるんです。だから、僕らは地元のことを半分、あと半分は東京のことも取り上げないといけない。そのバランスがすごく難しい」と佐藤氏。これは他の地域の番組プロデューサーから実際に指摘されたことでもある。
「東京の行列店とか、例えばコストコみたいな有名なお店が名古屋に進出しましたというニュースと、名古屋だけで知られている行列店が第二号店を出します、というニュース。どちらが重要か?といったら圧倒的に前者。名古屋だけの話題ではまったく反応がないこともあります」。佐藤氏の分析によれば、名古屋人は「全国的に流行っている、テレビ・雑誌で見たことのある情報に憧れを抱く傾向がある」という微細な心理があるそうだ。
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