多くの消費者がSNSで情報を収集する昨今。日々トレンドが変化するSNSプラットフォームの中で「見たいコンテンツ」を出し続けるための極意とは。制作ドラマの累計再生数11億回、平均再生回数200万回を記録する「ごっこ倶楽部」に話を聞いた。
ごっこ倶楽部は、偶々ではなく、狙ってバズってます──これは2022年2月に設立したGOKKOのHPに記載されている言葉だ。
GOKKOは、2021年5月に結成したクリエイター集団「ごっこ倶楽部」が設立した会社。「日常で忘れがちな小さな愛」をテーマに、バズる縦型ショートドラマを生み出し続けている。2022年末にはTikTokのショートドラマカテゴリーで日本初の月間1億再生を突破するなど、様々な記録を更新。今回、同社のマーケティングを担当する中矢啓樹氏がその裏側を話す。
「ごっこ倶楽部が活動を始めたすぐの頃から企業案件の依頼は来ていたのですが、初めの1年はチームとしてクリエイターとしての作家性を育てることに専念しました。自分たちの軸や特色がないまま企業の紹介動画を制作して、ただのCMになってしまうことを懸念したからです」。
このごっこ倶楽部の意識から学べるのは、消費者からまず「見たいコンテンツ」として認識されることが重要だということ。企業のSNS運用でも同様に、初めから自社の宣伝を始めることは避けたほうがよい場合もありそうだ。SNS上で企業としての人格を確立させてから、自社が持つ情報を消費者の役に立つかたちで届ける工夫が必要とも言える。では、「見たいコンテンツ」として認識されるためにはどうすればいいのか。
考察の余白を残して視聴者のアクションを促す
ごっこ倶楽部はUGCであるオリジナルドラマだけではなく、企業案件のPR動画であっても100万再生を記録している。つまり、視聴者は「PRであっても見たい」と思っているのだ。
その理由は、日ごろのドラマであっても企業案件であっても「バズる」ポイントを踏まえ制作しているから。そのポイントを聞いたところ、「成功確率の高い型を見つけてドラマの中で組み合わせる」、「1つの場面や台詞が長くなりすぎないように、展開を多く組み込む」、「視聴者が考察できる余白を残しておく」の3点を挙げた。
具体的には、常に新しいコンテンツで視聴者の反応を見ながら、...