「コストパフォーマンス」(コスパ)に「タイムパフォーマンス」(タイパ)。使った費用や時間に対する価値やメリットを求める消費者が増える中、販促ではどのようなアプローチが有効になるのか。ライズマーケティングオフィス 代表取締役田中みのる氏が解説する。
コスパとは、使った費用(コスト)に対して得るモノ(パフォーマンス)の大きさを表す「費用対効果」のことです。得るモノというのは、「効果」ですから商品だけではなく価値やメリットが当然含まれ、「人によっても感じ方は違う」モノなのです。ですから他人がコスパが悪いと評していても、「自分にとってはコスパが良いと感じる」ことは往々にして起こり得るのです。
この「お金(コスト)」の部分を「時間(タイム)」に置き換えて言われ始めたのが「タイパ」つまり「タイムパフォーマンス」なのです。俗にZ世代と言われる若い年代から広がり始め、ビジネスの世界でも使われ始めています。
「タイパ」は使った時間に対して得るモノの大きさを対比させようとするわけです。「コスパ」を上げようとすると、同じモノを得られるなら「より安く」と費用を下げようとしますよね。同じように「タイパ」の場合は「かかる時間を減らそう」とする行動が背景にあるのです。
世の中の高速化が進んだタイパ重視の行動とは?
Z世代は「デジタルネイティブ」とも言われる世代です。欲しい情報を早く大量にすぐ入手できることが当たり前の環境を生きているのです。大学のオンライン講義などでは生講義でないなら「倍速視聴」は当たり前で、再生スピードを1.5倍や2倍にする機能が備え付けられています。
また、「エンターテインメント」としての映像作品も倍速で見る人が一定数います。内容を楽しむというより「情報を得るためのコンテンツ」として見ている傾向とも取れます。その作品のあらすじを先に把握しておくことで理解しやすくしておく。という感覚が「タイパ重視」なのです。
これは「間違えたくない」「失敗したくない」という考え方が背景にあります。そして今やZ世代だけでなく多くの人たちが「タイパ重視」の行動をするようになってきています。
購買行動で見る「コスパ」と「タイパ」
買い物の時、チラシなどの広告を複数見比べて、A店では○○が安い、B店では△△を特売している、C店では□□のサービスデーだ。とチェックをしてから複数のお店をはしごする。来週にポイント倍増日が来るから、と、少しがまんして買い物の計画をずらすなんてこともありますよね。これらは、より安く買い物をするため、「コスパ重視」的な行動となります。
一方...