滋賀トヨペットが2018年7月1日〜9月30日に開催したイベント「にじいろレイク探検隊〜光放つ十九の輝石〜」に、のべ1万4369人が参加し、盛況となった。ファミリー層や子どもなど、地域住民との関係を強化するイベントには県も後援。その思惑を県知事と滋賀トヨペットのトップに聞いた。
「また参加したい」が98% ショールームが大賑わいに
自動車ディーラーの滋賀トヨペットが開催する「リアル宝探しイベント」が好評だ。2018年7月1日から9月30日にかけて実施した「リアル宝探し in 滋賀県にじいろレイク探検隊〜光放つ十九の輝石〜」に、のべ1万4369人が参加した。
滋賀トヨペットが体験者に取ったアンケート(1604件)では、「楽しかった」と回答した人が99%、「また参加したい」とした人は98%に上った。
イベントの内容はこうだ。タカラッシュの「リアル宝探し」の企画で、参加者は「探検隊の一員」として、滋賀県の全市町である19の市と町を巡る。エリアごとの謎を記した「宝の地図」を受け取った参加者は、それをたよりに「宝箱」を探す。「宝箱」にはキーワードが記されており、見つけるごとに「宝物カード」がもらえる。また、クリアしたエリア数に応じて、さまざまな賞品が当たる抽選に応募できる。参加に登録は不要で、費用も無料。
滋賀トヨペットの運営する店舗では、「宝の地図」を配布したほか、キーワードを見つけた参加者に「宝物カード」を渡す、「発見報告所」として活用された。
「ショールームは通常の3倍以上の来客でごった返す日もありました」(滋賀トヨペットの山中隆太郎社長)
イベントは滋賀県や県の教育委員会も後援した。「宝の地図」を県内全域の小学校に配布したほか、県立施設である琵琶湖博物館や陶芸の森などにも設置した。「宝の地図」には「観光コラム」を載せ、各エリアの名所なども紹介した。
県が後援したのは、山中社長から三日月大造・県知事へ持ちかけたのがきっかけだった。
「営利よりも、滋賀に対する地元愛と地域活性に一役買いたいという、山中社長の情熱に打たれました。加えて、タイミングもよかった。ちょうど18年7月から12月まで、『虹色の旅へ。滋賀・びわ湖』という全県での観光キャンペーンの開催を予定していました。県内各地を巡りながら歴史遺産や自然、風土、食や暮らしを県民の皆さまに見つめ直してもらうのにも、ご提案いただいた宝探し企画はいいのではないか。Win-Win-Winの実践であり、近江商人の『三方よし』の思想の真髄である、と思いました」(三日月知事)
実際、「『宝探しで来店された方に、営業トークは一切してはならない』と通達しました」と山中社長は話す。「今回のイベントは、直接売り上げにつながるものとは考えていません。しかし、社員の、お客さまとの接し方に温かみが出るなど、教育面でも非常にプラスになったと感じます」(山中社長)
参加者の半数以上が19エリアすべてを周遊したという。また、参加者のうち90.9%が県内在住だった。
10年もすれば購入世代に 長期的視野で関係を築く
滋賀トヨペットで初めて「宝探し」企画を実施したのは2017年のこと。それから毎年開催している。始まりは、ある研修会だった。
「そこで静岡トヨペットの社長にお会いし、『リアル宝探し』のパンフレットとともに、『おもしろいイベントで、とてもよかった』という話を聞きました。自動車ディーラーにとっては、地場に密着することが、よい商いの秘訣。ふだんから社員にもそう聞かせているので、これはいい、とピンと来ました」(山中社長)
「宝探し企画」は、参加者にとっては遊びながら地域の歴史や風土にまつわる知識を得られ、主催者にとっては住民とのコミュニケーションが図れるチャンスでもある。
「長い目で見れば、店舗への信頼を築く源になります。子どもたちも、10年経たないうちにクルマを買う世代となり、将来の滋賀を担う人材に育つ。そういったことも含め、意義のある取り組みだと思います」(同)
山中社長は、「しっかりとイベントを継続したい」としている。「県の独自性を加味した町のシンボル的イベントとしてステップアップさせたい」と意気込みを語る山中社長に、三日月知事も「福祉や環境面でも一緒に展開できないか。官民連携の好例として、協働の構想を膨らませています」と述べた。
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