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直感で伝える語らない販促

人は直感で選んだもののファンになる

未来日本酒店

わたしたちがふだん目にする日本酒は、数多ある蔵元のお酒のなかでもごく一部。身近な売り場には並ばない日本酒に、どのように手を伸ばしてもらうか。日本酒市場の拡大に向け、「直感」を活用する日本酒店がある。

東京・吉祥寺にオープンした「未来日本酒店 KICHIJOJI」。代官山店に次ぐ2号店。

12のオノマトペで好みの味覚を分類

日本酒のセレクトショップ「未来日本酒店 吉祥寺店」が6月15日、サンロード商店街にオープンした。運営するのは、新興企業の未来酒店(東京・渋谷)。「未来日本酒店」の出店は、代官山店に次いで2軒めとなる。

特徴は、人工知能(AI)技術を活用した味覚の診断サービス「YUMMY SAKE(ヤミー・サケ)」。来店者が、銘柄などを隠した状態で10種の日本酒を試飲し、つど感じた味覚を手持ちのスマートフォン経由で専用Webサイトに入力すると、AIがその人の味覚タイプを判定する。

味覚タイプは、利酒師の監修で「スルスル」「トロトロ」「シャラシャラ」といった12種のオノマトペ(擬音語)に分類。専門用語でなく、直観的な分類にしたのは、ハードルが高い印象のある日本酒に対して、抵抗感を弱めるため。Webサイトにしたのも、アプリのダウンロードや更新に手間がかかる点を忌避したからだ。

オープンに先がけ、5月30日から6月3日には、東京・渋谷のイベントスペース「GALLERY X BY PARCO」で、「YUMMY SAKE」を体験できる期間限定イベント「BAR YUMMY SAKE」を開催。予約時点で728席が完売し、急きょ増やした当日枠を合わせて、約1000人が来場した。

「YUMMY SAKE」は、未来酒店と、博報堂アイ・スタジオの共同事業「Project Yummy(プロジェクト・ヤミー)」の一環。味覚データを活用したサービスデザインや研究開発を行い、小規模生産者と消費者をマッチングしたり、事業を起こしたりといった目的を持つ。

博報堂アイ・スタジオYUMMY SAKE推進室の中島琢郎室長は、「YUMMY SAKE」について、「ブラインドテイスティング(銘柄などを伏せた試飲)で、おいしいと感じた日本酒が忘れられない、という自分の体験に基づくもの」と話す。「そこから、”人は、頭で理解したものより、直感で選んだもののファンになるのではないか”という仮説を立て、スタートしたのです」

「YUMMY SAKE」は、試飲した人が、予備知識(先入観)や視覚情報の影響を受けずに判断した味覚データを集められるのが利点。「人が本能的に好む味わいの分析や、商品のおすすめ、商品開発などに生かせると考えています」(中島氏) …

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