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相乗効果を最大化 実店舗×ネットの戦略

米国の事例に見る、ECと実店舗の存在意義の明確化

鎌田慎也(Wieden+Kennedy Tokyo)

日本以上にEC化が進行している米国だが、なぜそしてどのようにECが普及していったのか。昨年まで3年にわたり、米国ポートランドにあるクリエイティブエージェンシーに勤めていた鎌田慎也氏が、いちコンシューマーの視点から事例をもとに米国ECについて語る。

EC化が必然だった米国事情 アマゾンプライム普及の理由

この大きなテーマについて語り出す前に、米国のECがなぜ広まったかについて少し触れたいと思います。

まず、米国は国土が大きいです。とにかくデカいです。カリフォルニア州は、日本の本州の倍近い面積と言われますから、隣の州に買い物に行くなんてことはまずありえませんし、物流にも時間がかかります。また日本のように、なんでも揃うコンビニエンスストアなんてありませんから、郊外に住んでいると日用品を買うのにも車を数十分飛ばす必要があります。

そういった環境であるため、アマゾンが米国でなぜ爆発的に成長したのか、そしてそれがいかに革新的なサービスであったかが腑に落ちます。

アマゾンプライム(無料配送や配送日時指定などの特典が受けられる定額サービス)を利用する場合、日本なら場合によっては当日に届きますが、米国はアマゾンプライムでも2日かかります。それでもほかのオンラインショッピングより早いですし、アマゾンプライムに入っていないと、届くまでに1週間くらい待つことがザラにあります。

見方を変えると、東京のように労働人口が1000万人超もいれば、観光客の需要も含めて、店頭販売だけである程度の収入が見込めますが、米国はニューヨークやロサンゼルスですら、そこまでの人数はいませんから、小売店単体での事業の拡大は、東京に比べると難しいということもあると思います。

私が昨年まで住んでいたオレゴン州のポートランドは、人口64万人の地方都市で、なおさら店舗だけの運営だと収益の限界が見えているわけです。そういった意味で、ECを積極的に、“必然的”に早い段階から取り入れようという意識が米国の小売業にはあったのではないかと思います。

また、やはりシリコンバレーの企業や各地のスタートアップから続々とオンライン決済のツールや、簡単にEC機能を持たせられるWebサイト作成ツールがどんどん出てきていますから、コーディングの知識が皆無でも、誰でも簡単にオンラインビジネスを始められるという土壌があると思います。

ただし、こうしたサービスのほとんどは、Webサイトを作ることまでは日本からできても、通貨や金融システムの違いから、EC機能は米国国内とカナダのみというのがほとんどです。

ECは丁寧な作り込みとユニークな体験が重要

さて徐々に本題に移りますが、この手のテーマでよく取り上げられるのは、メガネを販売する「Warby Parker(ワービーパーカー)」という企業です。日本でいうとZoffのような価格帯のメガネ店舗ですが、オンラインでは5本のメガネを一度に「試着」ということで注文でき、自宅で実物を見て気に入ったもののだけを購入できます。全部気に入らなかったら、全部返品できます …

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