日産自動車は2016年10月、大型商業施設の「ららぽーと湘南平塚」にテナントイン型の販売店舗を出店した。その背景と狙いについて、同社で店舗戦略を担当する大橋祐介氏と販売促進を担当する東郷茉莉氏に聞いた。
お客さまを待つのではなく、お客さまがいるところに出向く
「自動車業界全体の課題として、お客さまに商品を販売する場となるディーラー(店舗)への来店頻度が低くなっていることが挙げられます」─こう語るのは、日産自動車の店舗戦略担当・大橋祐介氏だ。
「かつては、購入の検討から購買まで何度も店舗にお客さまが来店していました。最近ではネットを見て事前に車種やカラーをある程度しぼり、試乗のためだけに来店するお客さまが増えています。その結果、来店頻度が低くなっています」(大橋氏)
自動車は決して安い商材ではないため、とりわけ顧客の不安を取り除き、購入のメリットを伝えて、日産のファンになってもらうことがカギとなる。「お客さまは日産以外の車種を検討していることも大いに考えられます。そうしたなかで、日産の店舗に足を運ぶ回数はわずか1回ということもありえます。ですから来店した瞬間から日産が良いと思ってもらわなければなりませんし、来店のハードルを下げる必要もあります」
そういった状況を打開するためのひとつの方法として考えられたのが、店舗で顧客の来店を待つのではなく、顧客がいる所に店舗側から出向くというアプローチだ。昨年10月にオープンした「日産サティオ湘南 ららぽーと湘南平塚店」は …
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