モスバーガーは5月から4カ月連続で既存店の売上高と客単価双方で前年比を上回った。4月~8月でも既存店売上高は同比106.2%、同客単価は108.8%とした。ファストフード全体が微減傾向にあるなか、堅調に推移している。この一端を担うのが、同社の会員施策を担うダイレクトマーケティンググループ。4年目を迎えるプリペイドカード「モスカード」を中心に、これまでの取り組みを聞いた。
*1 2015年3月時点
日本フードサービス協会の統計では、4~6月はファストフード全体の前年比増減率は平均で5.4%減。一方、モスバーガーの4~6月の既存店売上高は前年比2.8%増で推移している。
今回の仕掛け人は、モスフードサービスで、会員施策などを手掛けるダイレクトマーケティンググループの真鍋貴裕氏。会員データ分析からクーポン施策、会員向けイベントなどを手がける。「店舗でのお客さまとの1対1のコミュニケーションを図れるようになることがゴール。お客さまのスタイルにあわせてサービスをご提供していくやり方が、一番モスらしい方法ではないかと考えています」と話す。
*2 2015年7月末時点 モスフードサービス
ブランド戦略室 ダイレクトマーケティンググループ 真鍋貴裕氏
―モスバーガーの会員施策のこれまでの取り組みを教えてください
モスバーガーには、「モス カード会員」と「モスWEB会員」という2つの枠組みがあります。「モスカード」は店頭での決済に使えるプリペイドカードで、そのままでも利用できるのですが、ウェブサイト経由で会員登録すると受けられるサービスの幅が広がります。「モスWEB会員」はカードより先行して取り組んでいた、いわゆるメール会員に近い施策です。
一方で課題もあります。「モスカード」を所有しているだけの方には、新商品などの情報をお届けしづらい。「モスWEB会員」の方は、店頭の利用状況が見えにくい状況にあるという課題です。そこで2013年に会員データの統合を行い、ウェブサイト上でカードの残高情報などを見られるように、翌14年には入金(チャージ)もできるようにしました。
私が所属するダイレクトマーケティンググループも同じ時期にできた組織です。それまでは販売促進グループ内のデジタル部門という位置づけでした。現在では、ナショナルキャンペーンを扱う販促グループ、ファンを太く、強くする会員施策を担うダイレクトマーケティンググループと、並列で連携を図る体制となっています。
―「モスカード」はどれくらいの規模になっているのでしょうか。
この3月末までで総発行枚数は150万枚近くに達しました。所持していない方と比較すると、来店頻度や、購入単価の増加という面で、一定の成果を得られているかと思います。常におさいふのなかに「モスカード」を入れておいていただけるという意味では、お店とのつながりはもちろん、ブランド全体への貢献もあるかと思います。
―モス カード会員向けにはどんな施策を実施しているのでしょうか。
お客さまとの距離を縮めることを目的に、多面的に行っています。主要なところでは、「モスツアー」と題したイベント。これまで3回開催しており、すべてカード会員向けに行っています。それから、一部地域限定ですが、趣向を変えたサービスも展開しました。ポテトがSからLにサイズアップするといった付加価値を感じられるようなタイプです。
「同伴者のドリンクが無料になる」「ドリンクを頼んだ方に無料でお菓子をプレゼントする」といったタイプもありました。それから、これはモスの特長だと思うのですが、バーガーのソースをポテトに付けて召し上がる方が多いんです。ならば、とポテトに付ける専用のミートソースがもらえるサービスも用意しました。
目下進行中のものには、来店回数や購入金額に応じてサービス内容が上がる「モスカードプログラム」があります。ブロンズ~シルバー~ゴールドとランクアップしていき、秋以降、ランク別に抽選による …