「澄みわたる梅酒」シリーズが好調だ。2015年1~5月の販売実績は、計画比160%に上る。梅酒の香りはそのままに、甘さを抑えてすっきりさせた風味が30~40代女性を中心に支持された。2014年4月の発売以降、「柚子酒」や「葡萄酒」と商品を拡充し、2015年5月までに累計販売本数は約1340万本に到達。6月にはスパークリングタイプの「澄みわたる梅酒 天然水仕上げスパークリング」を発売、購買者拡大に拍車をかける。
従来の「梅酒」のイメージを覆した青色のボトル。甘さを抑え、すっきりとした口当たりと見た目の透明感を「澄みわたる」と表現し、そのコンセプトから生まれたデザイン。
グラスに注いですぐ飲める「Ready to Serve(RTS)」商品として登場した「澄みわたる梅酒」。RTSカテゴリーは2014年、前年比225%増の市場規模225万ケースに拡大している。「澄みわたる梅酒」はこの急成長を支える主要ブランドのひとつであるだけでなく、やや踊り場にかかっていた梅酒市場を回復に向かわせてもいる。商品を担当するサントリースピリッツの杉山誠二氏に、ヒットを収められた背景を聞いた。
サントリースピリッツ RTD・リキュール・焼酎部 杉山 誠二氏
─商品開発に至った背景は。
「澄みわたる梅酒」は、近年増えつつある「Ready to Serve(レディ・トゥ・サーブ、RTS)」カテゴリーの商品です。文字どおり、「サーブ=注ぐ」だけですぐ飲める点が特徴となります。当社ではRTSに取り組んで3年目になります。
アルコールのびん入り商品と言えば、日本酒や焼酎、ウイスキーやリキュールを思い浮かべる方が多いと思いますが、もう少し低い度数、「アルコール10~20%の商品にもニーズがあるのではないか」と考え、開発を始めました。
2014年のRTSカテゴリーの市場規模は225万ケースで、前年比225%と急伸しました。けん引しているのは「ふんわり鏡月」ですが、「澄みわたる梅酒」も大きく伸びています。「梅酒市場」という視座に立つと、これまで年々減少傾向にあったものが、昨年は105%と回復基調に乗りました。その一つの要因が「澄みわたる梅酒」のヒットだと考えています。
梅酒市場は10年くらいのスパンで見ると2倍に伸びているのですが、近年は踊り場にかかっていました。それは、2000年代の半ば頃に起きた「梅酒ブーム」で得たファンが次第に離れはじめたことが要因として大きいと思います。当時20~30代の女性の嗜好が、「梅酒では甘すぎる、食事に合わない」というふうに変わり、ワインに移行しているんですね。
彼女らに「いま、梅酒に求めること」を尋ねると …