味の素の通信販売向け健康基盤食品「アミノエール」が2014年度、売上高10億円に到達しそうだ。2013年11月の発売から約1年半、シニア層を中心に支持を集めている。平均寿命が年々伸び、「高齢者」と定義づけられる65歳から、さらに20年以上の人生を送ることも珍しくなくなってきた。近年は、健康上の問題がなく日常生活をおくれる「健康寿命」をいかに伸ばすかが、医療費抑制といった社会課題の側面からも、何より、個々人の生活の質向上のためにも重要だ。「いつまでも自立して過ごしたい」「活動的でいたい」という願いを持つ層は数千万人にも上る。味の素はこうした潜在顧客層に向け、さらに利用者を拡大しようとしている。
「アミノエール」は、ロイシンを高配合した必須アミノ酸9種類からなるサプリメント。筋肉づくりに役立つとして、シニア層から支持を集めている。
加齢とともに衰えてしまう筋肉を作る力に着目し、味の素が自社の強みである「アミノ酸」の研究から得た知見を商品に生かしたのが、「アミノエール」だ。この商品を担当するのは、同社ウェルネス事業部ダイレクトマーケティンググループ専任課長を務める斉藤典子氏。自らコールセンターで顧客の声を聞いたり、ロイヤリティユーザーを集めて話を聞いたりと、購入者との関係を深めながら「アミノエール」のヒットにつなげた舞台裏を聞いた。
味の素 アミノサイエンス事業本部 ウェルネス事業部 ダイレクトマーケティンググループ 専任課長 斉藤典子氏
─「アミノエール」はどのような方がメインの購入者なのでしょうか。
主な購入者は、60~70代が中心です。80歳、90歳という方もいらっしゃいます。やはり加齢による体の衰えを実感されることが、購入につながっていると感じます。「病気を経たが、これからは健康を維持したい」「食が細くなってしまい、これから筋肉をつけることがそう簡単ではない」そうした思いを抱いている方が少なくありません。
発売当初は、女性を主要顧客として想定し、パッケージなども女性向けを意識したビジュアルにしたのですが、男性層からの支持もあり、2~3割を占めています。やはり、健康でいたいという意識に男女差はない様子です。
─力を入れているプロモーションは何ですか。
新聞やテレビが主要なメディアになっています。ネット広告も出稿していますが…