カルビーと阪急阪神百貨店が共同開発した高級ポテトチップス「GRAND Calbee(グランカルビー)」直営店の好調が続いている。2014年4月オープン以来の販売実績は、全日程で完売しており、日商約200万円に上る。5月には阪急のオンラインショッピングでの販売を始め、近畿エリアを超えた話題づくりに挑もうとしている。
「百貨店での販売に見合うものを」と、カルビー独自の製法で生産。素材本来の味を生かすことに気を配っている。春夏はさくさく、秋冬はざっくりといった食感に“衣替え”。新作フレーバーの開発にも余念がなく、話題化につなげる。
「百貨店の顧客が、『500円の価値がある』と思える商品を」というオファーに応えるべく開発された「GRAND Calbee(グランカルビー)」。阪急百貨店としては、グリコ、亀田製菓に続き、大手菓子メーカーと共同開発する高級志向菓子となる。カルビーにとっては、プレミアム商品も“デパ地下”店舗運営も初となるチャレンジ。成功を収めた初年度に続き、2年目の拡大に挑む新規ビジネス開発部課長の石橋寿子氏に話を聞いた。
カルビー新規ビジネス推進部課長石橋 寿子氏
─「グランカルビー」はなぜ、ここまでヒットしたのでしょうか。
一番のプロモーションは、まぎれもなくお客さまだったと思います。通常、当社でも商品プロモーションに予算を投下し、拡販に力を注ぎますから、そうした活動が重要なのは分かります。なにより、「グランカルビー」に携わる前は、営業担当をしておりましたので。
百貨店ではその常識が逆転するんです。まさに“お客さまがお客さまを呼ぶ”状態です。そのためのカギは何かと言うと、「今しかない、ここしかない」なんです。「グランカルビーは、大阪・梅田の阪急百貨店にしかない」ということが重要。ありがたいことにオープン以来、行列に並んでお待ちいただくことがほとんどです。完売する日が続いており、お客さまが当日のうちにご購入できないこともしばしばで……こうした状況の体験自体が、これまで当社にはありませんでした。
カルビーにとっては、こんなシチュエーション自体が思いつかないことなのです。なぜなら私どもは、「カルビーは、いつでもどこでも誰でも買える」という信条を抱えているからです。どこの店であっても置いてある、できるだけ安い価格で誰でも買える、それを追求してきたわけです。まさか、「商品がないことがプロモーションにつながる」とは思いもしませんでした。
つまるところ、そういう売り方が許されるというのが“百貨店”だということです。売り場の持つ空気と、そこを訪れる方々の気持ち、それがあってこその売り方なのだなと思わされました。途中で新商品を入れて話題化には努めましたが ...