男性用「フットカバー」が人気だ。フットカバーは、足の甲が大きく開いた浅いタイプの靴下。もともとはパンプスなどを着用する女性向けのものが主流だったが、男性でも丈の短いズボンが流行し、履き心地も見た目も涼しげな点が受けて支持が広がっている。すっかり定着した「クールビズ」の一環として、若い世代だけでなく、年齢の高い層にも愛用者がいるようだ。グンゼが2013年、男性向け下着ブランドのラインナップに加えたフットカバーもヒット。14年の売上高は前年比5倍に伸長し、ことしも昨年を上回る成長を見せている。
「クールビズ」普及の後押しもあり、男性ビジネススタイルでも、服装の多様化が進む。足を浅く覆うタイプの靴下「フットカバー」を愛用する男性も増えてきた。若い世代だけでなく年長者も含め、すそ野が広がっている。
フットカバーにまつわる消費者の悩みは、つま先からかかとにかけて覆う構造上、どうしても発生する「脱げやすさ」。歩くたびにずれてくるフットカバーをいちいち直さなければならないのは、ちょっとしたことであってもストレスになる。グンゼは2009年から試行錯誤を繰り返し、「脱げにくさ」を高めた商品の開発に成功。その機能の実感が口コミにつながり、売り上げを拡大している。商品開発担当の河合孝氏に話を聞いた。
グンゼ アパレルカンパニー レッグウエア事業本部 MD本部 企画開発部企画二課 マネージャー
河合 孝氏
─女性向けの印象が強いフットカバーですが、なぜ男性向け商品がヒットしているのでしょうか。
ひとつには、男性のファッションの多様化が挙げられると思います。ハーフパンツだけでなく、ズボンのすそを巻き上げる「ロールアップスタイル」や、6~7分丈ほどの「クロップドパンツ」など、丈の短いズボンでおしゃれを楽しむ方が増えてきました。同時にシューズのほうでも、デッキシューズやローファーなど、フォーマル・カジュアル問わず、浅いクツが流行しています。フットカバーを着用すれば、足元を涼しげに見せられ、裸足でクツを履くよりも衛生的です。
もう一方で、夏の省電力や消費喚起を図る「クールビズ」も10年目を迎え、だいぶ浸透してきました。最近では、ノーネクタイはもとより、涼しいだけでなくビジネス向けでも恥ずかしくないシャツもいろいろと登場し、透けないように工夫した肌着なども売れています。そのバリエーションとして、足元にもクールビズが普及しはじめています。若い世代だけでなく、意外と年長者にも、おしゃれの一環として、「フットカバー」が広まっていると感じますね。
最近では、スニーカーでも、履き口から靴下が覗いているのを避けたい、と考える方もいらっしゃるようです。名称も、シューインと言ったり、海外だとライナーと呼ぶこともあります。
─2014年は売上高が前年比5倍と大きな伸びでしたが、要因は何でしょうか。
フットカバーを履く際、利用者が一番の悩みとするのは「脱げやすさ」です。これは、フットカバーの足を浅く包む構造上、いたしかたないことではあるのですが、やはり歩くたびに直すのは、わずらわしいものです。一般に、靴下製品のニーズというのは …