
「アポロ」の発売45周年を迎え、発売当時に「アポロ」を食べていたいまの40~50代の人々に向けて開発された同商品。味もパッケージも大人向けの上質なものとなっている。
2015年の春に発売された商品430品目のパッケージデザインを、20~50代の男女2万人に対して、当社で自主調査した。
国内のパッケージデザイン調査としては最大規模の調査であろう。その中で、最も評価が高かった商品は「明治 贅沢いちごのアポロ」である。
ロングセラーブランド「アポロ」を大人向けにしたデザインは「贅沢いちごのアポロ」という商品名、「味わう大人時間…」というコピーのとおり、いちごの新鮮さと贅沢感が非常によく表現されている。質感と奥行のある赤のグラデーションと、端的に魅力を伝えるコピー、ホワイトスペースを上手に使ったレイアウトがデザインクオリティを担保している。
またトップ10に選ばれた商品のアンケート自由回答欄を読んでみると、パッケージデザインのトレンドが見えてくる。それはこの「贅沢いちごのアポロ」にも見られる、「奥行」、「質感」、「自信」、「シズル感」といったキーワードだ。じっくりと丁寧に質感を持って、商品の良さを表現したパッケージデザインが、共通して高く評価されている。
なぜ、こういったトレンドが生まれているのか。実はデザインのトレンドは社会の空気を反映している場合が多い。現在の日本は東京オリンピック開催が決定し、株価も上昇傾向にあるが、一方で世界経済の金融不安やアジア諸国との協調体制の不透明感、将来の年金問題、財政不安など、社会全体の雰囲気はまだまだ保守的な傾向が強い。
こういった社会の空気を反映し、どっしりとした本物感、質感、落ち着いた時間の流れといったデザイントーンが評価されている可能性が高い。
パッケージデザインは商品ライフサイクルが早い分、トレンドを反映しやすい。その分デザインテイストの陳腐化も早く、トレンドをおさえたパッケージデザインは大変重要である。
もちろんデザインの好意度が高いというだけで商品が売れるかというと、そう単純なものではない。商品が売れるとは…