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シニアプロモーションの現場

フラダンス、庭で演奏・・・要望に応じた送り方

西川立一(流通ジャーナリスト)

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ハワイが好きだった故人の葬儀ではフラダンスが披露された。

様変わりする葬儀市場

高齢化社会が進む中、2014年の日本の死亡者数は約127万人。国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年には167万人に達すると推計されている。葬儀の施行件数は増加の一途をたどると見られており、地域に根付いた中小の葬祭業者、大手葬祭業者、一大勢力の互助会やJAなどが、激しい受注競争を繰り広げている。

葬祭の市場規模は、関連ビジネスを含めて約1兆9000億円。葬祭業者はおよそ約7800社あるが大半は家族経営などの零細業者だ。

今後、施行件数は増える一方で、死亡時の年齢が高齢化したこともあり、少人数の葬儀や、家族葬、直葬が増えることが見込まれる。また料金の透明化が叫ばれ、新規参入勢力が主導する価格破壊が進んだこともあり、葬儀の単価は下落傾向にある。

生活者の葬儀に対する意識も変化している。「終活」として生前から自分の葬儀を準備し、また遺族がありきたりの葬儀ではなく故人にふさわしいものを求めることで、葬儀の形式も多様化し、個人葬も大きく変わろうとしている。こうした流れに対して、葬祭業者も葬儀セミナーを開催することで、生前にアプローチし、葬儀サイトや業者のネットを活用したPRや集客を強化する動きも目立つ。

近年、葬儀市場の変化を好機ととらえて、イオンや南海電気電鉄など、大企業が参入し、さまざまな取り組みがなされ、市場も活性化されてきた。

イオンリテールは2009年9月から、年中無休・24時間対応のコールセンターを設け、葬儀の受注を開始した。実際の葬儀は、提携している約500社の葬儀社と行い、140項目にわたる独自の品質基準を設け、業者向けに研修などを実施しサービスレベルの維持と向上を図っている。

基本プランは19万8000円~69万8000円、追加料金不要で料金の透明化を図っている。

会員制度を導入し、全国の系列の店舗で、葬儀プランを掲載のリーフレットを設置し、イオンのクレジットカード会員にも働きかけている。系列の商業施設で年間約100回の「終活セミナー」を開催するなど、PRに力を入れている。

現在会員は約5万人を超えたが、2020年まで20万人まで増やし、2016年には、葬儀の受注件数で国内ナンバーワンを目指す。

昨年9月には分社化し、生前の葬祭の準備・予約を事業の柱にしたイオンライフを設立した。墓や仏壇の販売、遺産整理や相続税の申告手続きなども行い、ペット葬も手がける。

故人にふさわしい送り方

こうした流れに先立ち …

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