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セレクト10

オチ・オサム展ほか今月の展覧会

オチ・オサム展

《題不詳》2003年 オチ・オサム事務所蔵
©2020 EUREKA

オチ・オサム(1936-2015)は、福岡を拠点とする前衛美術グループ「九州派」のメンバーとして活動し、晩年まで孤高の存在として内から湧き出るビジョンを表現し続けた作家である。1950年代末にアスファルトや日用品を表現の素材として見出し、当時の美術界に新風を巻き起こした。また、1960年代後半には渡米。その経験を経て、独自の絵画空間をつくり出していった。本展は、「九州派」時代から晩年までの作品・資料約180点を紹介する。オチ・オサムの長年にわたる幅広い活動をたどる、福岡市美術館初の試みだ。

オチ・オサム展

福岡市美術館
開催中、3月24日まで
月曜、2月13日休館(2月12日は開館)
お問い合わせ→092-714-6051

THE新版画
版元・渡邊庄三郎の挑戦

フリッツ・カペラリ《柘榴に白鳥》大正4(1915)年
渡邊木版美術画舗蔵

江戸時代に確立された浮世絵木版画(錦絵)は、明治以降の西洋の写真や印刷技術導入の影響で、衰退の一途をたどっていた。そんななか、あえて伝統的な絵師、彫師、摺師による分業体制の浮世絵木版画技術を使い、高い芸術性を意識した同時代の画家による取り組みが、「新版画」の始まりとされている。そしてその取り組みをけん引し、「新版画」のジャンルを築き上げたのが、渡邊版画店の渡邊庄三郎だ。本展では、彼が運営する渡邊版画店から出版された、川瀬巴水、伊東深水、フリッツ・カペラリなどによる「新版画」の数々を通し、渡邊庄三郎の挑戦の軌跡をたどりつつ、モダンな精神に彩られた瑞々しい表現の魅力を伝える。

THE新版画
版元・渡邊庄三郎の挑戦

島根県立美術館
開催中、3月18日まで
火曜休館
お問い合わせ→0852-55-4700

ゴッホ・アライブ

Photo:Grande Experiences

Photo:Grande Experiences

これまでに世界99都市を巡回し900万人を動員してきた、ゴッホの世界を五感で感じられる新感覚の没入型展覧会が、いよいよ東京で開催される。日本ではこれまでに、名古屋(2022年12月~2023年3月)、神戸(2023年3~6月)で開催し、延べ約34万人が来場した。本展では、時空を超えて来場者をオランダ、パリ、アルルなど、ゴッホゆかりの地に誘う。クラシック音楽が流れるなか、ゴッホの世界が3000点以上の画像で壁や柱、床などありとあらゆる場所に映し出される。一瞬にしてゴッホの傑作の世界に引き込まれる本展での経験、細部まで色鮮やかに再現された作品の数々を通じて、ゴッホの当時の想いや感情に触れられるだろう。

ゴッホ・アライブ

寺田倉庫 G1ビル
開催中、3月31日まで
会期中無休
お問い合わせ→0570-550-799

水木しげる生誕100周年記念
水木しげるの妖怪 百鬼夜行展
~お化けたちはこうして生まれた~

《がしゃどくろ》©水木プロダクション

《一反木綿》©水木プロダクション

水木しげる(1922-2015)は、代表作『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめ多くの妖怪作品を生み出し、「妖怪」という言葉が一般に広がるきっかけをつくった。そして、長きにわたり妖怪ブームの原動力となり続けた。生誕100周年を機に企画された本展は、これまで開催されてきた数ある水木しげる展のなかでも初めて妖怪画制作の具体的手法に注目し、豊饒な作品世界を解き明かす。百鬼夜行の名にふさわしく妖怪画100点以上を一挙公開するほか、妖怪画を描く参考とした書籍や関連資料も展示。また、妖怪への想いを語ったインタビュー映像も紹介する。現代日本に「妖怪」という文化を根付かせた妖怪の描き方や向き合い方に迫ることで、その世界観を楽しみつつ妖怪を身近に感じられる展覧会。

水木しげる生誕100周年記念
水木しげるの妖怪 百鬼夜行展
~お化けたちはこうして生まれた~

そごう美術館
開催中、3月10日まで
会期中無休
お問い合わせ→045-465-5515

横尾忠則 ワーイ!★Y字路

《暗夜光路 眠れない街》2001年
アクリル・布 181.8×227.3cm
公益財団法人アルカンシエール美術財団/
原美術館コレクション蔵

《宮崎の夜-眠れない家》2004年
アクリル・布 181.8×227.3cm
東京国立近代美術館蔵

2000年、故郷、兵庫の西脇で、横尾忠則は夜の三叉路をストロボ撮影した。すると見慣れたはずの景色が、全く異なる風景となって立ち現れたという。この写真からインスピレーションを得た横尾は「Y字路」シリーズに着手、それらはやがて彼にとって重要なライフワークとなっていった。内省的な光と闇の世界は、祝祭的な色彩の爆発を経て、さらに変幻自在なバリエーションを生み出しつつ今日に至っている。2015年に横尾忠則現代美術館では、2006年以降の作品による「横尾忠則 続・Y字路」を開催した。本展はいわばそれを補完するものだ。シリーズの原点である初期作品(2000~2005年)、および新近作(2016年~)を紹介し、多彩な「Y字路」シリーズの魅力に迫る。

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