デザイン・アート・広告賞今月の展覧会&コンペティション
命宿るORIGAMI ―吉澤章 創作折り紙の世界
「まるで生きているかのよう」。そう評されることの多い、創作折り紙作家・吉澤章(1911-2005)の作品の数々。いきいきと躍動感に溢れ、今にも動き出しそうな折り紙の動物や虫たちは、人々に温もりや懐かしさを感じさせる。その創作は対象物をとことん観察・研究することから始まった。そうすることで、生き物の生態や本質の表現、動植物や恐竜に昔話、人々の営みや感情から抽象表現まで、幅広いテーマの作品がたった一枚の紙とその手により生み出されていった。本展では、新たに寄贈を受けた作品を含めた約700点を展示する。
命宿るORIGAMI ―吉澤章 創作折り紙の世界 | |
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佐野美術館 |
テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本
人類史上に輝く繁栄を誇った古代ローマ。中でもお風呂を愛する日本人が深い関心を寄せるもののひとつがテルマエ(公共浴場)である。ヤマザキマリ氏による漫画『テルマエ・ロマエ』はテルマエへの親近感と関心をより一層高めた。本展では、同漫画の主人公・ルシウスを案内人とし、古代ローマのテルマエと、日本の入浴文化を併せて紹介する。ルシウスが浴場を通して日本と古代ローマを往復したように、それぞれの入浴文化を体感し、東西の文化差を感じることができるだろう。
テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本 | |
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山梨県立美術館 |
生誕百年 中田喜直展
中田喜直(1923-2000)は、『夏の思い出』『ちいさい秋みつけた』『雪のふるまちを』『めだかのがっこう』など、数々の名曲を生んだ作曲家である。30年もの長きにわたり横浜で暮らしただけでなく、フェリス女学院大学で教壇に立ったり、横浜市立学校の校歌を数多く作曲したりと、横浜と深い縁を持つ。そんな彼の生誕100年を記念して、本展ではその生涯、音楽、意外な人物像、そして横浜とのかかわりを紹介する。
生誕百年 中田喜直展 | |
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横浜市歴史博物館 |
大浦一志 ――雲仙普賢岳/記憶の地層
武蔵野美術大学・共通絵画研究室にて、絵画表現を通じて美術・デザインにおける「造形の基礎とは何か」を考える実技授業に長年携わった大浦一志の退任記念展。1991年6月3日に発生し、多くの人命を奪った長崎県雲仙普賢岳の大火砕流。大浦氏は、この自然災害によって殉職した新聞記者のカメラに残った1枚の写真に心を強く揺さぶられた。そして30年にわたり被災地域に度々足を運んだ。ある時は灰土に埋もれた民家跡から被災物を掘り起こし、またある時は噴火後の自然を記録した。自身の身体を通して「自然の脅威と人間の営み」に向き合ってきたフィールドワークを紹介する。
大浦一志 ――雲仙普賢岳/記憶の地層 | |
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武蔵野美術大学 美術館・図書館 |
「横尾忠則 寒山百得」展
横尾忠則が寒山拾得を独自の解釈で再構築した「寒山拾得」シリーズの完全新作102点を一挙初公開。このシリーズは、寒山と拾得という、中国、唐の時代に生きた伝説的な2人の詩僧をテーマとしたもの。彼らはその奇行から「風狂」と捉えられ、日本・中国の両国で伝統的な画題となってきた。コロナ下において、横尾は俗世から離れたアトリエで創作活動にいそしみ、まさに時空を超越し、あらゆる世界を縦横無尽に駆け巡った。そんな営みのなかで描き出された「寒山…