「足す」ことで生まれるオリジナリティ
今から20年以上前、「横浜トリエンナーレ2001」に行ったとき、ある作品の前に人だかりができていました。作品を見ている人たちは何だか楽しそうで、時折笑いも起きている。
ティボール・カルマン『Perverse Optimist』 (Booth-Clibborn Editions、1998)
表現の手法や手段にとらわれず、何をやってもいい。たとえ広告の仕事であっても、その目的によってはプロダクトやサービスをデザインしてもいい。
そんな柔軟な感覚を持てるようになったのは、グラフィックデザイナーであるティボール・カルマンの作品集『Perverse Optimist』を見たことがきっかけです。
収録されているのは、カルマンが手がけていた雑誌のエディトリアルデザインや広告、プロダクトデザイン、アルバムジャケットデザインなど。これを見ると、カルマンが業界問わず横断的に活動していたことがよくわかります。
今から30年ほど前、日々広告を制作していた社会人2年目の若手の僕にとって、そんなカルマンの働き方は憧れでした。当時、広告のデザイナーが雑誌や書籍などのエディトリアルデザインを...