2023年10月、設立20周年を迎えたフューチュレック(大阪市)。SIer出身者らが創業し、デジタル制作会社として広告領域のほか、サービス開発・事業支援(DX)、リアル体験開発などにも注力する。スタッフも増員し、規模を拡大する方針だ。
システム構築から広告案件にも拡大
2003年に創業し、デジタルの制作会社として長い歴史を持つフューチュレック。SIer出身のCEO 神田宗秋さんと広告制作会社出身でCOOを務める小林大輔さんのもと、堅牢なシステム構築を軸に、プランニング、ディレクション、デザイン、マネージメントまで一気通貫で担う。
当初はバックエンドのシステム構築が中心だったが、徐々にフロントエンドの開発にも着手。2012年にグーグルの案件を手がけたことを機に、大手企業のキャンペーンサイトの構築など広告制作も増加した。近年は大手から中堅・中小まで企業規模を問わず、サービス開発や事業支援(DX)にも対応。サービス開発・事業支援、広告制作、イベントやアトラクションなどでのリアル体験、システム構築の4つを柱とする。
約50人の社員はプロデューサーやディレクター、エンジニア、デザイナーなどバランスよく人材が揃う。特徴としては、難易度の高い複雑な案件を経験してきたプロデューサー、ディレクターが多数いること。過去に例のない案件も検証を重ね、エンジニアとともにクライアントの要望に応じて着地させられる実績がある点が強みだ。「システム構築は要件定義から設計、開発、テストと緻密に進めていくウォーターフォール型が多い一方、広告案件は目新しさや面白さを追求していくため、柔軟な対応が要求されるアジャイル型が多い。当社では双方のバランスを取ることができる。この経験値が当社の強み」と神田さん。
サービス開発・事業支援(DX)の例
サービス開発・事業支援の代表的な例として、2022年にリリースされた音声型ARアプリ「emorip」がある。独立型ワイヤレスイヤホンなどを装着し、スマホを操作せずに位置情報と連動して音声ガイドを聞くことができ、Spotifyとの連携で位置情報にちなんだ音楽を流すこともできる。
大手広告会社と協業した同サービス開発について、小林さんは「音声ガイドと音声プラットフォームと位置情報を紐付けたサービスを開発したいという相談がきっかけ」と話す。位置情報と音声が流れるタイミングを合わせる難しさなどもある中、UIを含め仕組みをゼロからつくり上げた。2020年には運送関連会社のレッタスからの相談により、配送ドライバーが荷主事業者と運送事業者に配送状況を共有できるサービス「レッタスデリバリー」を開発。アプリの扱いに心理的ハードルを感じていたドライバーの声を聞きUIを改善していった結果、配達時間や荷物の確認など「多くの入電を止めたい」という運送業界特有の現場の課題解消に繋がった。
2012年からは、1905年創業で手づくりの帆布かばんを展開する、一澤信三郎帆布(京都市)の業務管理システム構築とコーポレートサイトの刷新も担当。紙ベースで実施していた受注管理や職人への製造指示を、業務フローに合わせたシステム構築によりデジタル化し、業務効率を改善した。店舗にもタブレットを利用したシステムを導入し、店舗内の商品の状況、売上の把握まで一括して管理できる体制を構築。「あえて"時代に遅れ続ける"ブランドであることにこだわってきた企業。購入者への手書きの手紙など大事にしてきた部分は残しつつ、より効率的に顧客との関係を構築していけるようDXを進めました」(神田さん)。
音楽などエンターテインメント分野のイベントの体験演出などにも業務は広がっている。大手テーマパークなどのイベント演出を継続担当するほか、2018年11月にはロックバンド「amazarashi」による初の武道館ライブで使用する参加型スマホアプリも開発。アプリによって、観客はボーカル・ギターの秋田ひろむさんによる書き下ろし小説やミュージックビデオを閲覧できるほか、公演中にスマホのフラッシュを使ってライブの演出に参加できるように。「オンラインだと1万人の同時アクセスが難しいため、事前にオフラインでも使えるアプリを開発しました。会場の一体感を高める演出として事前シミュレーションを何度も重ねた結果、観客参加型のライブの先駆けになりました」(小林さん)。
20周年の節目を迎えた今、今後はクライアントとの共同での新規事業やサービスの開発も増やしていきたいと考えている。一方で、クライアントワークに留まらないものづくりや人材育成に取り組むため、スタッフ数を現在よりも増員させる計画もある。「開発と検証を繰り返すプロセスを楽しむことができ、アイデアを持っているクリエイターやエンジニアの方々とともに仕事ができれば嬉しいですね」(小林さん)。
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