大手プロダクション出身者らが2013年に共同設立したフラックスは、CG領域に特化した制作会社だ。テレビCMを中心にMVや映画も含め、フルオーダーメイドで対応している。新卒採用も実施しており、20代~30代前半の若手がそれぞれ得意とする分野で活躍している。
CG・映画・MVなど幅広く担当
2013年創業のフラックスはテレビCMをはじめ、映画、イベント用の映像やMVなども含め、数々のCG制作に携わってきた。現在はCGプロデューサーやCGデザイナー、CGディレクター、オンラインエディターなど総勢25人の社員が所属する。中途・新卒ともに採用にも力を入れてきた。
「映像制作は人材が基盤となる。優秀な人材確保を最優先に考えつつ、スタッフにはより多くのチャンスを会社として提示できるようにしています」と話すのは、代表の宮武泰明さん。CG領域に特化した制作会社として、手がけるジャンルも多岐にわたる。「社内のメンバーには、CGに関わる仕事であればどんな案件でも挑戦し活躍してもらえたら」と期待を寄せる。
経験を積みCGディレクターにも挑戦
そんな同社では、若手社員も多数活躍中だ。
CGプロデューサーを務める岩崎皐平さんは、テレビ番組の制作会社やコンテンツ配信会社を経て、2019年に中途入社した。「当時は飛躍的にCG技術が進化し始めていたころ。将来の成長性も見据え、CG専門の制作会社で働いてみたいと思いました」と入社のきっかけを語る。CGプロデューサーはクライアントと社内のクリエイターの間で企画内容や予算管理などの調整役を担う仕事で、最近では日本マクドナルドの「ティロリミックス」のMVを担当した。マクドナルドの店舗でポテトが揚がった時に鳴る「ティロリ」音をベースに、Adoの『踊』とasmiの『PAKU』をリミックスした楽曲のMVをフルCGで仕上げた。「3分を超える映像はテレビCMに比べ自由度が高い。キャラクターの表現を追求するなど、やりがいも大きい仕事でした」(岩崎さん)。
岩崎さんが手がけた仕事
飯尾亮晴さんは、スズキ「ソリオ」のテレビCMをはじめ、映画やMVなども担当するCGデザイナー。2018年に新卒で入社した。中でも平面のキャラクターを立体化する、アニメーションやモデリングを得意としている。2022年にはクボタの動画「クボタのスマートビレッジ構想」で、鳥やドローンのCGを手がけた。「自分の携わった作品を目にしたときはもちろん、思い描いていた表現を具現化できたときに大きなやりがいを感じます」(飯尾さん)。
飯尾さんが手がけた仕事
フラックスではCGデザイナーとして技術を究める人もいれば、より全体を俯瞰するCGディレクターの道に進む人もいる。
2019年に新卒で入社した高橋陸さんは日向坂46の楽曲『シーラカンス』のMVで、初めて本格的にCGディレクターとしての仕事に挑戦した。「特に青い鳥のCGの部分はこだわりました。ディレクターは自分一人で監督とのやり取りや社内の作業指示、全体のまとめなどを行う難しさもある一方、自身の裁量で決められる面白さもある。学生時代から自分で考えて最後まで一気通貫でやり切ることを楽しんでいたので、この仕事に向いていると思います」と高橋さん。休日には自主制作に取り組むこともあり、その知見が仕事にも活かされている。
高橋さんが手がけた仕事
先回りの検証で完成度を高める
同じく2019年に新卒入社した大場雄土さんは、アサヒ飲料の炭酸水「ウィルキンソンタンサン」のCM「ブレない、刺激。」篇のCG表現などを担当。CGデザイナーとして多数のCM制作に携わってきた。「監督によって要求やこだわるポイントも違います。事前の打ち合わせや撮影時のすり合わせ以外にも、監督の要求を察して先回りしておくことも重要だと実感しています」と大場さん。今後は映画作品でのCG映像の制作にも興味を持っているという。
大場さんが手がけた仕事
福岡圭佑さんも2019年入社で、学生時代から、炎や爆発、光などを表現するエフェクト効果の制作を得意としてきた。近年はCGデザイナーとして、P&Gジャパン「ボールドジェルボール4D」のテレビCMシリーズを担当。CGで洗濯した衣類が綺麗に仕上がるイメージを増幅して伝える効果を生み出している。「シミュレーションやレンダリングなど、それぞれ異なるソフトを用いて念入りに検証を重ねました。手間はかかりましたが、完成度を高めることができたと思います」(福岡さん)。
福岡さんが手がけた仕事
多数のCG表現を生み出してきた同社だけに、得意分野も個性も異なる多様な人材が集まっている。
「互いに相談し合いながら仕事へ取り組むことで化学反応を起こし、より質の高いCG制作を実現できる環境にしていけたら。情熱を持って取り組み、自分の得意分野や興味のある分野で活躍していってほしいですね」(宮武さん)。