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革新と拡張の10年 クリエイティブとテクノロジーで「伝達」を探求

Dentsu Lab Tokyo

2014年に誕生した電通のR&D組織「Dentsu Lab Tokyo」が2024年、10周年を迎える。近年は海外からのオファーも急増。クリエイティブとテクノロジーを融合させ、新たな「伝達」の方法の探求を続けている。これまでの活動、そして次なる展望とは。

Dentsu Lab Tokyoのメンバー。約50人が在籍する。

広告クリエイティブの限界点を拡張

「既存の広告制作の枠組みでは当てはまらないクリエイティブの探求」を出発点とする、Dentsu Lab Tokyo。電通のCDC(当時)のデジタルクリエイティブチームをルーツとし、現在は多様な分野の専門性を持った約50人によるクリエイティブR&D集団に成長した。その最大の特徴は、AIや3DCG、VRなど各領域で強みを持つクリエーティブテクノロジストが約30人在籍していること。リサーチャー、クリエイティブディレクター、アートディレクター、プロデューサーらとともに、リサーチ・企画・プロトタイピング・実装まで可能だ。

テクノロジーに精通した若手を発掘するため、デジタルクリエイティブに特化したインターンを継続的に実施し20代が多数活躍する点も特徴だ。オープンイノベーションも盛んで、外部の専門家や大学、企業と新しい表現や体験を開発し続ける。

特に近年増えているのが、社会実装できていない研究や技術などを持つ企業と、その技術のデモンストレーションにもなり得るアウトプットをつくること。さらに900以上ある世界中の電通グループにおけるイノベーション領域をリードすることで、グローバルクライアントからの案件も増えてきた。最近では日系化粧品メーカーの中国拠点のインスタレーション制作や、9月にはNTTとの共同研究の延長としてアルスエレクトロニカでプロジェクトを発表。11月には、英国の美術館「テート・モダン」でのライブパフォーマンスも実施した。

これらの取り組みを経て、最も重視しているのは「伝達の探求」だ。「言葉、デザイン、映像を軸としてきた広告業界において、新しい手段を組み合わせることで、まだない表現や体験をつくり、世界がより楽しく、ワクワクするような伝達を生み出せたらと思っています」(代表の田中直基さん)。

パラ開会式を転機とした新プロジェクト

その代表的な取り組みのひとつに、「東京2020パラリンピック開会式」(2021年開催)の選手入場パートの演出がある。約160の国・地域名がアナウンスされるたびに、新国立競技場のフロアに「The Wind of Change(世界を変えるカラフルな風)」をコンセプトとした映像が投影される演出が話題を集めた。出場選手の国・地域ごとに映し出される"風"はひとつとして同じものがなく、各国の国旗の色や国歌の音声といったデータをもとに生成した。

東京2020 パラリンピック開会式の演出「The Wind of Change」(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)。

「国旗の色構成の解析や流体シミュレーション、Spotify上の国歌の音声解析データを用いて、風の生成と連動させました。さらに競技場を取り囲む電光掲示板に全選手名を正しく映し出せたのもデータ活用があってこそ。データとアイデアをかけ合わせて新しい表現や物語、感動を引き出すことができると実感できた経験でした。この10年のターニングポイントです」(田中さん)。

この経験は翌年以降、ALS(筋委縮性側索硬化症)患者でDJなどの活動を行う武藤将胤さんやNTTとのプロジェクト「ALL PLAYERS WELCOME」に発展。目の動きのみでライブ演奏ができるツールを開発し、2022年のカンヌライオンズでは武藤さんとライブパフォーマンスを実施した。

WITH ALS「ALL PLAYERS WELCOME」。

WITH ALS+NTT「Project Humanity」。

2023年9月にもオーストリアで開催された「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」で、武藤さんが東京からリモートでDJパフォーマンスを披露した。これはNTTと共同で手や足、首の筋肉を流れる「筋電」と呼ばれる信号を読み取り、アバターを自由に動かす研究から実現したもの。武藤さんと会話を重ねて目線と筋電を組み合わせてUIを仕上げていった。アートディレクターの観点も交えて改善を重ねていけるのはこの組織の強みだという。

中には社内でR&Dのアイデアを募る取り組みも。そこから2023年に生まれたのが、"アップサイクル"の概念を変える企画「UP-CYCLING POSSIBILITY」だ。金継ぎで修復した器に電流を流して温冷が変わるペルチェ素子や、傾き頻度によって色変化するLEDなどを加え、新しい口あたりを体感できる器などを制作した。

「UP-CYCLING POSSIBILITY」。

12月5日からは、アドミュージアム東京で「愛と出会えたテクノロジー」展の開催も。同館の膨大な所蔵資料からのキュレーション展示のほか、Dentsu Lab Tokyoが手がけてきた企画の体験展示も複数予定している。「広告業界ほどクリエイターが多数のアイデア、打ち手を提案できる業界はほかにありません。これからも"伝達"を探求するという強みを活かし、テクノロジーの力によって、社会をより楽しくて良い場所にしていきたいです」。

NEXUSVII.「UNLABELED – Camouflage Against the Machines」。

一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)「TOKYO GAME SHOW VR 2023」。

「THE TECHNOLOGY REPORT」(共同編集:BASSDRUM)。

横浜八景島「“名画になった”海展」。

伊藤忠商事「こどもの視展」。

    お問い合わせ

    Dentsu Lab Tokyo

    URL:https://dentsulab.tokyo/
    メールアドレス:dentsu-lab-tokyo@dentsu.co.jp

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