IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

デザインの見方

その土地で続く新しい価値のつくり方

藤田 佳子

その土地で続く新しい価値のつくり方


金沢市の築50年のビルを再生する「香林居」のプロジェクトを手がけていたとき、宿泊施設について色々と調べていました。ホテルの付加価値について検討する中で、その土地らしさを活かし、世界観をつくることが重要なのではという話になり、その参考施設のひとつとして、広島県尾道市にある「LOG(ログ)」が挙がっていました。LOGは、昭和30年代に建てられた集合住宅「新道アパート」をインドの建築家集団「スタジオ・ムンバイ」がリノベーションした宿泊施設で、ホテルのほか、レストラン、カフェ、ショップ、ライブラリーなどが備わっています。2018年にオープンした時に話題になっていたので存在は知っていましたが、訪れたことはありませんでした。そこで、リサーチを兼ねて宿泊してみることにしました。

実際に泊まってみると、地元の人たちと繋がりながら、長く続いていくためのデザインや思想を体感し、とても刺激を受けました。まず、ホテルのサービスのひとつとして、施設内を案内するギャラリーツアーがあります。特に印象的だったのは、案内するスタッフが”自分の言葉”で説明してくれたこと。経年変化を見越して内装や家具をつくっていることや、その世界観は土地の歴史や文脈を踏襲していることなど、言葉の端々から”自分ごと”として捉えていることが伝わってきました。案内してくれた方にそのことを伝えると、LOGは建築家や施工会社、職人だけではなく、ホテルで働く人やワークショップで募った...

あと61%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

デザインの見方 の記事一覧

その土地で続く新しい価値のつくり方(この記事です)
デザインとルールコミュニケーションとインサツ
デザインを自分なりに読み解き 記憶に蓄積する
知識や考察よりも大切なこと
歴史の瞬間を目撃した読書体験
空間になじむ新しすぎない新しさ
ブレーンTopへ戻る