「すべての子どもが才能を発揮できる世界をつくる」ことを目指すトイエイトホールディングスは2022年5月、マレーシアの首都クアラルンプールに位置するショッピングモール「The Gardens Mall」内に、体験型プレイグラウンド「TOY8 Playground」を開設した。プロモーション予算は設けていないにもかかわらず、週末には2000~3000人ほどが来場するというこの施設。どんな体験が人々を引き付けているのだろうか。
マレーシアの教育需要に応える
「TOY8 Playground」があるのは、三越伊勢丹も店舗を構えるクアラルンプールの高級ショッピングセンター「The Gardens Mall」の3階。入口は狭いが、細い通路を抜けるとさまざまな遊びのコンテンツが配された屋内パークが広がる。
入って手前の無料ゾーンと奥の有料ゾーン、どちらも子どもの才能を8種の知能の観点から遊びを通して発達を促進するために設計されているのが特長だ。場内に配置された遊びのコンテンツは、ハーバード大学教育学大学院のハワード・ガードナー教授が提唱する「多重知能理論」に基づき「言語的知能」「数学的・論理的知能」「身体的・運動的知能」「空間的・視覚的知能」「音楽的知能」「対人関係知能」「内省的知能」「博物的知能」の8種に分類されている。各コンテンツの対象年齢や難易度ごとに、異なる色で壁や床にぺイントを施してゾーニングしている。
仕掛けたのは、日本のベンチャー企業のトイエイトホールディングス(HD)。マッキャンマレーシアの松坂俊さんが創業した企業で、「TOY8 Playground」のプロジェクトでは、RABBITの増田総成さんがクリエイティブディレクター/アートディレクターを務める。増田さんはプロジェクトの立ち上げの経緯をこう振り返る。
「経済成長の真っ只中にあるマレーシアでは、子どもの数が多く、教育熱もまさに今、過熱しつつあります。そんな中で需要のある施設は何かと考えていきました。現地ではコロナ禍での学校閉鎖が非常に長引き、それに伴って子どもの教育に不安を抱える親が急増。そういったことを背景に、遊びを通して子どもの教育を支援できるような施設をつくることになりました」。
学校以外に子どもの教育や発達について相談できる施設はまだ少なく、専門家に相談するにも...