「運命は、ベートーベンがつくった。」「悲劇は、シェイクスピアがつくった。」「じゃあ、『カッコいい』をつくったのは、誰?」。そんな問いかけから始まる、マンダム「ギャツビー」のブランドムービーが公開された。「カッコいい」に真正面から向き合う、覚悟の1本。どんな想いで制作に至ったのだろう。
価値観が変わりゆく時代にブランドの姿勢を示す
ブランドムービー「カッコいいは、変わる。」が公開されたのは、2月8日のことだ。ギャツビーの広告展開を担う、マンダム ブランドマーケティング一部 関田航平さんは制作に至った経緯を次のように説明する。「約1年前の2020年5月頃から、電通側と共にブランドの在り方を問うディスカッションを始めました。ギャツビーは1978年に誕生してからこれまで、若年層の男性の『カッコよくなりたい』という思いを実現するために商品を展開してきたブランドです。
ところが、急速なデジタル化、環境問題への注目、コロナ禍など、ここ数年で一気に人々の価値観は変化しました。そんな今、ギャツビーとして改めて現代の『カッコいい』を問い直し、示す必要があると考えたのが企画のはじまりです」。同社では広告制作の際、オリエン、プレゼンと段階を踏むのが通例だが、今回はディスカッションからスタート。モノ起点ではなくブランドのスタンスを伝えることがまず必要と考え、コミュニケーションの展開について議論が繰り広げられていった。
一方で公開時期についてはマーケティングの視点も踏まえ、商戦期である夏から逆算。2月にブランドの姿勢を示すコミュニケーションを実施し、4月頃からテレビCMを中心とした商品広告を公開する、というプランが練られた。
ところで、ブランドの姿勢を示すにも、さまざまな手段がある。その中で今回Web動画を選択したのは、「共感を促したかったため」だと、電通のクリエーティブディレクター 佐藤雄介さんは話す。「『カッコいい』って、説明するものではなく、共感してもらうものだと思うんです。そのためムービーという手法で、世界観をつくりながら、尺を使って伝えることにしました」。意外にも、ギャツビーにとって国内のマーケティング施策としてのブランドムービーは初の試み。クリエイティブの制作も、慎重に進められた。
「変化の肯定」を動画で体現する
「『カッコいいとは何か?』に対するギャツビーとしての答えを出すこと。それが動画に求められていました。さまざま話し合う中で、チームで出した結論は、『誰かが変わろうとするチカラ』。今の自分から変わろうとする想い、その行動こそがカッコよさであり、ギャツビーはそれを支える存在でありたい。さらにそこから、次の『カッコいい』が生まれていく。そんな意図を込め、“変化の肯定”をコンセプトに置きました」(佐藤さん)。
動画では変化の例として...