IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

制作環境の変化で拡大するキャラクター活用

Withコロナ時代の広告制作 キャラクター活用10のポイント

いとうとしこ(エソラリア)

かつて、マス中心の広告展開では企業キャラクターの続投が難しい側面もあった。現在ではデジタルなど接点も増え、さらにはWithコロナで制作環境の制約がある中ではその可能性が広がっている。キャラクター活用に詳しいクリエイターが「10のポイント」とともに解説する。

    Withコロナ時代の広告制作 キャラクター活用10のポイント

    POINT 01
    見た目のデザインだけにとらわれない

    見た目=記号と捉え、キャラクターをどう機能させたいかを認識すると開発を進めやすい。

    POINT 02
    有名キャラクターのファンを裏切らない

    有名キャラクターを活用する場合、その世界観と広告コンセプトのマッチングを探求しファンを裏切らないように注意。

    POINT 03
    既存の企業キャラクターの鮮度アップを

    既存の企業キャラクターの露出を継続させると好感度アップにつながる。鮮度が落ちた時は、設定やストーリーの変更で鮮度アップできないかを検証。

    POINT 04
    眠っているIPをリニューアルしてみよう

    眠っているIPにイメージ資産としてのパワーがあれば、チューニングを施して活用。デザインが古い場合でも、リニューアルを検討。

    POINT 05
    ブランドとキャラクターが提供する価値を合致させよう

    キャラクター設定やストーリーがブランド戦略とずれていないかを確認。

    POINT 06
    ターゲットとキャラクターの関係性を設計しよう

    ターゲットにとって、例えば「個人的なつながりを感じる存在」にするか、「コミュニケーションをひきだす存在」にするかを考える。

    POINT 07
    コンセプトや設定の共有を

    キャラクターのコンセプトや設定はスタッフ内でしっかり共有。業務の縦割りによる整合性のなさを事前に防ごう。

    POINT 08
    マス広告とSNSの発信・運用はセットで

    マス広告の露出とともに、SNSの発信・運用を長期的に継続できる体制を整える。

    POINT 09
    他のキャラクターや著名人とのコラボも

    SNSやYouTubeでキャラクター同士や著名人とのコラボを図るなど。その際、説得力のあるつながりを大切に。

    POINT 10
    スマホ経由なら正統派以外のキャラも人気に

    正統派のキャラクターだけでなく”キモカワ系”や、ちょっと雑さのあるキャラクターが受け入れられることも。

デジタル化を強力に推進するコロナ禍

Withコロナ時代に突入し、私が担当する広告の制作現場も混乱した。撮影延期はもとより、全員の立ち位置を図面に記し、香盤を短縮し、役員会の承認を得てから実行した撮影もあった。また、あるスタッフは2週間隔離され、その間オンラインで対応してくれていた。今回の原稿を書くにあたって、医療関係者への御礼と犠牲になった方へのお悔やみを申し上げたい。その上で、新型コロナウイルスによってもたらされた変化とキャラクター活用について私見を述べようと思う。

私は、アニメやキャラクターコンテンツに強いとされる広告会社の出身で、クリエイティブディレクターとして多くの広告キャンペーンを手がけてきた。国内3番手というちょうど良い規模と社風により、マス広告はもとより、コミックや動画コンテンツ開発、Web・SNS運用、およびキャラクターのガイドライン作成まで、幅広く直接手がける機会を得てきた。起業独立後に出版した著書をきっかけに、広告制作以外にキャラクターのブランディングや、コンサルティングなども手がけることが増えた。そんな中でのコロナ禍である。

「三密」を避けるため、オンライン会議では、バーチャル背景のキャラクターが「和み」を提供してくれたのは副産物だったが、企画中だったリアルイベントは、ほぼ全てオンラインに移行した。着ぐるみによる活動は中止、もしくはZoomやLIVE配信を行ってしのいでいた。スモールバジェット案件であっても、映像素材を合成する対応が日常化し、デジタル化や実験的なAI(人工知能)搭載化も急速に進みつつある。

しかし、これらの動きは数年前から既に始まっており、コロナが加速させただけとも言える。ちなみに2020年でファイナル開催となる「ゆるキャラ® グランプリ」において、2019年の企業・その他部門の覇者はVTuberであったし、本稿執筆時点で本年の1位をキープしているのもまたVTuberである。

密にならず、歳をとらず、不祥事を起こさないという価値

さて、広告に目を向けると、密な撮影ができない状況の中で、キャラクターやアニメーションを活用したCMがいくつもある。ここ数カ月で観る側も、人物が密集しているシーンが映るとギョッとするようになってしまった。つまり、制作現場だけでなく表現の場もソーシャルディスタンスが求められているのだ。そんな中で、人間とキャラクターであれば密着は気にならない。キャラクターだけの登場であれば、さらに感染リスクは減る。

ここで「キャラクター」について定義を記載した方がよさそうだ(CMキャラクターという言葉は、リアルなタレントを意味する場合もある)。私が、この原稿内で定義する「CMキャラクター」とは...

あと62%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

制作環境の変化で拡大するキャラクター活用 の記事一覧

Withコロナ時代の広告制作 キャラクター活用10のポイント(この記事です)
元女子高生AIはどのように生まれ何を目指すのか
コミュニケーションの可能性を広げるバーチャルヒューマン
キャラクターコラボでも「商品起点」は変わらない
企業コラボの基本はファンに応援されるキャラクター表現
「とっくにネタは尽きた」それでも面白さを追求し 8年続くCMに
擬人化案を公募 ポップカルチャーの未来の担い手を応援する
都会派ブランドのアウトドア進出を後押しする「クマチューバー」
「灯そう。」を体現したコールマン初のブランドキャラクター
「14歳」のパッチョ 息の長さの秘訣とその悩み
「キウイ」を人気者に変えた売り場起点のコミュニケーション
ブレーンTopへ戻る