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制作環境の変化で拡大するキャラクター活用

コミュニケーションの可能性を広げるバーチャルヒューマン

アタリ「バーチャルヒューマン」

CGでつくられた架空の人間バーチャルヒューマン。フォトグラメトリの技術を使い、本物の人間と見間違える完成度だ。最近では企業の広告にも登場し、注目を集めている。

“リアルであること”がモットーの普通の女の子「MEME」

総合刃物メーカーの貝印は、8月17日、グラフィック「ムダかどうかは、自分で決める。」を公開した。脇毛の生えた女性のビジュアルと剃毛・脱毛に関する価値観の多様性を代弁したコピーは、SNSなどを中心に賛同を集めた。このグラフィックに起用されていたのが、バーチャルヒューマンであるMEMEだ。

MEMEのコンセプトは、コンプレックスもある普通の女の子。完璧な美少女ではなく、顔のそばかすやあざに悩んだり、恋をしたり、社会の出来事に戸惑ったりすることもある。それでも、“リアルであること”をモットーに、自分の頭で考え理解しようとするキャラクターだ。MEMEの開発者であるアタリCEO/プロデューサー神林大地さんは「王道の可愛さというよりも、少し尖った表現のできるキャラクターにしたいと考えていました。僕自身、完璧なものよりも少し違和感のあるものに惹かれる。キャラクター制作は、アート的側面も大きく、半分くらいは制作メンバーの趣味が入っています」と話す。

そして、MEMEの開発者のひとりであり、貝印の広告を担当した電通 アートディレクター 松下仁美さんは、今回貝印がMEMEを起用した背景を次のように話す。「MEMEのキレイなだけではないものにも向き合う性格や姿勢に共感しての起用です。他のタレントと比較した際に、MEMEの方がバイアスなしに生活者にメッセージを届けられるのではないかと考えました」。現在、世の中では「バーチャルヒューマンだから炎上しない」「不祥事などのリスクがない」といった見方をされがちだ。

しかし、それでは思考の幅を狭めてしまう。バーチャルヒューマンだから伝わりやすい表現は何かという発想で考えた方が、面白い。「決して、タレントができないことを解決するだけの存在ではないと思います。MEMEのInstagramのフォロワーは“バーチャルヒューマンだから”というよりは、“発信している内容に興味があって、共感できる”という理由でフォローしている気がします。10代などの若年層はもはやバーチャルもリアルも関係ないのかもしれません」(神林さん)。

また、バーチャルヒューマンを起用したアートディレクションでは...

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