クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に活かしているのか。今回は、『もじ鉄』というジャンルをつくり、アイドルグループ「中野カルチャーセンター」のプロデューサーとしても活躍する石川祐基さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

『広告批評』
No.271/2003年5月号
(マドラ出版)
物心ついた頃からの鉄道オタクだった自分は「電車通学がしたい」という単純な理由で、自宅からは少し遠い私立中学に入学した。車窓とは無縁な暗闇のトンネルを走る地下鉄。ふと目線を上げると賑やかな中づり広告がゆらゆらとクーラーの風になびいている……。そんな刺激のない通学時間を過ごす中で、ある日、ひときわ目を惹く広告に出会った。大貫卓也さんが手がけられた「ラフォーレ」や「東雲キャナルコートCODAN」の広告だ。
今まで見てきた広告と違う。一体どんな人がつくっているのだろう。あ、「としまえん」の広告と同じ方がつくっているのか!幼少期、西武線・中央線沿線に住んでいたので、さまざまな「としまえん」の広告を見てきた、例えば「史上最低の遊園地。」とか。そっか、広告っておもしろいじゃん!
当時、中学生だった自分は生意気にも書店で広告関連の書籍を漁っていると、『広告批評』なる不思議な本を発見。批評とうたっているだけに内容はピリ辛だ。読んでいるこちらがヒヤッとする。しかし今までにない世界...