クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。今回は、代々木上原駅近くのマンションの一室に、店を構える花屋「MAG BY LOUISE」の店主 河村敏栄さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

「僕ら」の「女の子写真」からわたしたちのガーリーフォトへ
長島有里枝(著)
(大福書林)
開業資金が少なそうだ、という素人丸出しの理由で、なんとなく始めた花屋は当たり前だがうまくいかなかった。傍目にはそう見えていただけで、やればやるだけ借金が増えていった。自分の中ではずっと何かが噛み合っていないと感じていても、一旦始めたことを途中でやめるのはすごく難しい。資金が底をつき、心身共に疲れ果てたときになって初めて、これは私がやりたいことではないと思うことを、少しずつ、手放す勇気が持てた。それからは不思議といろんなことが回りだして仕事が楽しい。
なのに時々不安になるのは、私の中にそれまであった、かっこいい花屋のイメージ(毎日ちゃんと店を開け、静かに花と向き合い続けるプロ)とチャラい自分を比べてしまうせいだ。つまり、どんな状況でも自分の価値を決めるのは誰なのか?という問いは私につきまとう。この本は...