クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。今回は、アーティスト/映像作家の石原海さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。
私は生まれなおしている
スーザン・ソンタグ(著)
(河出書房新社)
朝起きるのがしんどい、仕事をするのが面倒くさい、誰からも気にされないだろう作品を作り続けてゆく気力がない、時間が許す限り恋人とベッドにいたい、金はないけど酒を飲みたい、それでもやっぱり世界がもっと柔らかく良い方向に向かっていってほしい、できるなら最高の作品を作り自分の人生をちょっとでも良くしたい、そんな気持ちが溢れて爆発しそうな時にいつも考えてしまうのが、この本のことである。
ソンタグの14歳から30歳までの日記。膨大な量の本を読んで映画を観て、あらゆるパーティーに顔を出し、饒舌にしゃべりまくり、恋に夢中になり、時々取り返しがつかないほど落ち込み、そして何よりも孤独を恐れる。鬼のように仕事をこなした才能の塊のように見えるソンタグが、あまりにも人間くさい悩みを抱えて生きていたことに救われる …