クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。今回は、和菓子作家の杉山早陽子さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。
建築とマカロニ
新日本建築家協会(監修)
(TOTO出版)
建築家がマカロニを設計するという斬新な企画が本になったもの。マカロニが構造的に捉え直され、食感や味わいが考えられながら設計されていく。設計という概念を食の世界に取り入れるおもしろさがここにはあり、口に入れること、噛むこと、ソースと絡み合わせることなどを前提に、食べるという行為があるからこそ見えてくる設計図がある。
実は、私が和菓子をつくる時もこれに近いことをしたいと思っている。設計図こそ書いていないが、いつも新しいお菓子をつくる時には構造的に成立する形と柔らかさの限界を知り、そこから生まれる味わいを探求している。結果、私の和菓子はビジュアルから想像された食感を裏切ることが多い。思ってみたより柔らかかったと言われることは、私にとっては良い設計ができたと言える。
この企画に数ある食材の中でマカロニが選ばれたのには訳があると思う...