2018年8月、東京ミッドタウン日比谷で開催された「ふつうじゃない2020展」は、19日間で約26万人が訪れる成功を収めた。真夏に屋外で行われたイベントに、これほど多くの人が詰めかけた理由は何か。

東京ミッドタウン日比谷で開催された「ふつうじゃない2020展」。陸上選手の巨大モニュメントは、イベントのシンボルとして機能した。
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東京の新たなカルチャースポット、東京ミッドタウン日比谷で昨年夏に開催された「ふつうじゃない2020展」は、東京2020オリンピック・パラリンピックの競技や種目、選手について楽しく遊んで学べる体験型イベントだ。会場にはバレーボール選手のジャンプ到達点にボタンが設置された自動販売機、ラガーマンのスクラムのパワーを体感できる巨大な分銅など、一風変わった展示ばかりが並んだ。
このイベントを開催したのは、東京2020オリンピック・パラリンピックのスポンサーである三井不動産。企画を担当した電通のプランナー小池宏史さんは、イベントの起点について次のように振り返る。「三井不動産は『BE THE CHANGE-さぁ、街から世界を変えよう。』という標語を掲げていることもあり、オリパラをきっかけにスポーツに関心が高い人に対するコミュニケーションを行うのではなく、東京に住む人たちの中で低関心・無関心な人の意識を変え、都市として発展させていきたいという思いがありました」。
そこから、具体的にイベントのテーマを考えていった。電通 コピーライターの橋口幸生さんは「どんな体験ができる空間にするのか、その切り口を固めるのに3カ月ほど時間がかかりました。最初はダンスや異文化とのコラボ、未来の東京など、考えうるテーマをブレストでいくつも出し合いました」と話す。幅広く検討した結果、競技を楽しむためにはアスリートの身体能力を一般の人が実感しやすい体験型の展示だろうと、ある意味"直球"なテーマにたどり着いたという。

バレーボール自販機。バレー選手のジャンプの到達点と同じ高さにボタンが設置され、押すことができればコカ・コーラか、アクエリアスが手に入る。

エクスカリバー背筋力測定。アスリートの背筋力(約300kg)で持ち上げる剣の展示。
"トンチ"と"学び"の両立がポイント
2015年からさまざまなオリパラ関連のイベントを実施してきた三井不動産だが、今回は昨年春に東京ミッドタウン日比谷がオープンしたことを受け、日比谷での開催を前提に進めていた …